QUEUE(3) | Linux Programmer's Manual | QUEUE(3) |
名前¶
LIST_ENTRY, LIST_HEAD, LIST_INIT, LIST_INSERT_AFTER, LIST_INSERT_HEAD, LIST_REMOVE, TAILQ_ENTRY, TAILQ_HEAD, TAILQ_INIT, TAILQ_INSERT_AFTER, TAILQ_INSERT_HEAD, TAILQ_INSERT_TAIL, TAILQ_REMOVE, CIRCLEQ_ENTRY, CIRCLEQ_HEAD, CIRCLEQ_INIT, CIRCLEQ_INSERT_AFTER, CIRCLEQ_INSERT_BEFORE, CIRCLEQ_INSERT_HEAD, CIRCLEQ_INSERT_TAIL, CIRCLEQ_REMOVE - リスト・テール (tail) キュー・循環キューの実装書式¶
#include <sys/queue.h> LIST_ENTRY(TYPE); LIST_HEAD(HEADNAME, TYPE); LIST_INIT(LIST_HEAD *head); LIST_INSERT_AFTER(LIST_ENTRY *listelm, TYPE *elm, LIST_ENTRY NAME); LIST_INSERT_HEAD(LIST_HEAD *head, TYPE *elm, LIST_ENTRY NAME); LIST_REMOVE(TYPE *elm, LIST_ENTRY NAME); TAILQ_ENTRY(TYPE); TAILQ_HEAD(HEADNAME, TYPE); TAILQ_INIT(TAILQ_HEAD *head); TAILQ_INSERT_AFTER(TAILQ_HEAD *head, TYPE *listelm, TYPE *elm, TAILQ_ENTRY NAME); TAILQ_INSERT_HEAD(TAILQ_HEAD *head, TYPE *elm, TAILQ_ENTRY NAME); TAILQ_INSERT_TAIL(TAILQ_HEAD *head, TYPE *elm, TAILQ_ENTRY NAME); TAILQ_REMOVE(TAILQ_HEAD *head, TYPE *elm, TAILQ_ENTRY NAME); CIRCLEQ_ENTRY(TYPE); CIRCLEQ_HEAD(HEADNAME, TYPE); CIRCLEQ_INIT(CIRCLEQ_HEAD *head); CIRCLEQ_INSERT_AFTER(CIRCLEQ_HEAD *head, TYPE *listelm, TYPE *elm, CIRCLEQ_ENTRY NAME); CIRCLEQ_INSERT_BEFORE(CIRCLEQ_HEAD *head, TYPE *listelm, TYPE *elm, CIRCLEQ_ENTRY NAME); CIRCLEQ_INSERT_HEAD(CIRCLEQ_HEAD *head, TYPE *elm, CIRCLEQ_ENTRY NAME); CIRCLEQ_INSERT_TAIL(CIRCLEQ_HEAD *head, TYPE *elm, CIRCLEQ_ENTRY NAME); CIRCLEQ_REMOVE(CIRCLEQ_HEAD *head, TYPE *elm, CIRCLEQ_ENTRY NAME);
説明¶
これらのマクロは、次の 3 つのデータ構造を定義して操作する: リスト・テールキュー・循環キュー。 3 つのデータ構造すべてにおいて以下の機能がサポートされている:- 新たなエントリーをリストの先頭に挿入する。
- 新たなエントリーをリストのどの要素よりも後に挿入する。
- リストの任意のエントリーを削除する。
- リストを順方向に辿る。
リストは 3 つのデータ構造の中で最も単純であり、 上記の機能のみをサポートする。
テールキューは以下の機能を追加する:
- *
- エントリーをリストの最後に追加できる。
ただし:
- 1.
- 全てのリスト挿入と削除において、リストの先頭を指定しなければならない。
- 2.
- 各先頭エントリーは 1 つではなく 2 つのポインターを必要とする。
- 3.
- リストと比べて、コードサイズは 15% 大きくなり、操作は 20% 遅くなる。
循環キューは以下の機能を追加する:
- エントリーをリストの最後に追加できる。
- エントリーを他のエントリーの前に追加できる。
- 逆方向に末尾から先頭へ辿ることができる。
ただし:
- 1.
- 全てのリスト挿入と削除において、リストの先頭を指定しなければならない。
- 2.
- 各先頭エントリーは 1 つではなく 2 つのポインターを必要とする。
- 3.
- 辿る際の終了条件がより複雑である。
- 4.
- リストと比べて、コードサイズは 40% 大きくなり、操作は 45% 遅くなる。
マクロ定義において TYPE はユーザー定義構造体の名前であり、 LIST_ENTRY, TAILQ_ENTRY, CIRCLEQ_ENTRY の何れか型のフィールドと 指定された NAME を含まなければならない。 引き数 HEADNAME はユーザー定義構造体の名前であり、 マクロ LIST_HEAD, TAILQ_HEAD, CIRCLEQ_HEAD を用いて宣言されなければならない。 これらのマクロがどのように使われるかについての更なる説明は、 以下の例を参照すること。
リスト¶
リストの先頭には、 LIST_HEAD マクロで定義される構造体が置かれる。 この構造体はリストの最初の要素へのポインターを 1 つ含む。 要素は 2 重にリンクされており、 任意の要素はリストを辿らずに削除できる。 新しい要素は既存の要素の後またはリストの先頭に追加できる。 LIST_HEAD 構造体は以下のように宣言されている:LIST_HEAD(HEADNAME, TYPE) head;
ここで HEADNAME
は定義される構造体の名前であり、
TYPE
はリンク内でリンクされる要素の型である。
リストの先頭へのポインターは、その後で次のように宣言される:
struct HEADNAME *headp;
(名前 head と headp はユーザーが選択できる。)
マクロ LIST_ENTRY はリストの要素を接続する構造体を宣言する。
マクロ LIST_INIT は head で参照されるリストを初期化する。
マクロ LIST_INSERT_HEAD は新たな要素 elm をリストの先頭に挿入する。
マクロ LIST_INSERT_AFTER は新たな要素 elm を要素 listelm の後に挿入する。
マクロ LIST_REMOVE は要素 elm をリストから削除する。
リストの例¶
LIST_HEAD(listhead, entry) head; struct listhead *headp; /* リストの先頭。*/ struct entry { ... LIST_ENTRY(entry) entries; /* リスト。 */ ... } *n1, *n2, *np; LIST_INIT(&head); /* リストを初期化する。*/ n1 = malloc(sizeof(struct entry)); /* 先頭に挿入する。*/ LIST_INSERT_HEAD(&head, n1, entries); n2 = malloc(sizeof(struct entry)); /* 後ろに挿入する。*/ LIST_INSERT_AFTER(n1, n2, entries); /* 順方向に辿る。*/ for (np = head.lh_first; np != NULL; np = np->entries.le_next) np-> ... while (head.lh_first != NULL) /* 削除する。*/ LIST_REMOVE(head.lh_first, entries);
テールキュー¶
テールキューの先頭には TAILQ_HEAD マクロで定義される構造体が置かれる。 この構造体は 1 組のポインターを含んでいる。 1 つはテールキューの最初の要素へのポインターであり、 もう 1 つはテールキューの最後の要素へのポインターである。 要素は 2 重にリンクされており、 任意の要素はテールキューを辿らずに削除できる。 新しい要素は既存の要素の後またはテールキューの先頭または末尾に追加できる。 TAILQ_HEAD 構造体は以下のように定義されている:TAILQ_HEAD(HEADNAME, TYPE) head;
ここで HEADNAME
は定義される構造体の名前であり、
TYPE
はテールキュー内でリンクされる要素の型である。
テールキューの先頭へのポインターは、その後で次のように宣言される:
struct HEADNAME *headp;
(名前 head と headp はユーザーが選択できる。)
マクロ TAILQ_ENTRY はテールキューの要素を接続する構造体を宣言する。
マクロ TAILQ_INIT は head で参照されるテールキューを初期化する。
マクロ TAILQ_INSERT_HEAD は新たな要素 elm をテールキューの先頭に挿入する。
マクロ TAILQ_INSERT_TAIL は新たな要素 elm をテールキューの末尾に挿入する。
マクロ TAILQ_INSERT_AFTER は新たな要素 elm を要素 listelm の後に挿入する。
マクロ TAILQ_REMOVE は要素 elm をテールキューから削除する。
テールキューの例¶
TAILQ_HEAD(tailhead, entry) head; struct tailhead *headp; /* テールキューの先頭。*/ struct entry { ... TAILQ_ENTRY(entry) entries; /* テールキュー。*/ ... } *n1, *n2, *np; TAILQ_INIT(&head); /* キューを初期化する。*/ n1 = malloc(sizeof(struct entry)); /* 先頭に挿入する。*/ TAILQ_INSERT_HEAD(&head, n1, entries); n1 = malloc(sizeof(struct entry)); /* 末尾に挿入する。*/ TAILQ_INSERT_TAIL(&head, n1, entries); n2 = malloc(sizeof(struct entry)); /* 後ろに挿入する。*/ TAILQ_INSERT_AFTER(&head, n1, n2, entries); /* 順方向に辿る。*/ for (np = head.tqh_first; np != NULL; np = np->entries.tqe_next) np-> ... /* 削除する。*/ while (head.tqh_first != NULL) TAILQ_REMOVE(&head, head.tqh_first, entries);
循環キュー¶
循環キューの先頭には CIRCLEQ_HEAD マクロで定義される構造体が置かれる。 この構造体は 1 組のポインターを含んでいる。 1 つは循環キューの最初の要素へのポインターであり、 もう 1 つは循環キューの最後の要素へのポインターである。 要素は 2 重にリンクされており、 任意の要素はキューを辿らずに削除できる。 新しい要素は、既存の要素の後または前、またはキューの先頭または末尾に追加できる。 A CIRCLEQ_HEAD 構造体は以下のように定義されている:CIRCLEQ_HEAD(HEADNAME, TYPE) head;
ここで HEADNAME
は定義される構造体の名前であり、
TYPE
は循環キュー内でリンクされる要素の型である。
循環キューの先頭へのポインターは、その後で次のように宣言される:
struct HEADNAME *headp;
(名前 head と headp はユーザーが選択できる。)
マクロ CIRCLEQ_ENTRY は循環キューの要素を接続する構造体を宣言する。
マクロ CIRCLEQ_INIT は head で参照される循環キューを初期化する。
マクロ CIRCLEQ_INSERT_HEAD は新たな要素 elm を循環キューの先頭に挿入する。
マクロ CIRCLEQ_INSERT_TAIL は新たな要素 elm を循環キューの末尾に挿入する。
マクロ CIRCLEQ_INSERT_AFTER は新たな要素 elm を要素 listelm の後に挿入する。
マクロ CIRCLEQ_INSERT_AFTER は新たな要素 elm を要素 listelm の前に挿入する。
マクロ CIRCLEQ_REMOVE は要素 elm を循環キューから削除する。
循環キューの例¶
CIRCLEQ_HEAD(circleq, entry) head; struct circleq *headp; /* 循環キューの先頭。*/ struct entry { ... CIRCLEQ_ENTRY(entry) entries; /* 循環キュー。*/ ... } *n1, *n2, *np; CIRCLEQ_INIT(&head); /* 循環キューを初期化する。*/ n1 = malloc(sizeof(struct entry)); /* 先頭に挿入する。*/ CIRCLEQ_INSERT_HEAD(&head, n1, entries); n1 = malloc(sizeof(struct entry)); /* 末尾に挿入する。*/ CIRCLEQ_INSERT_TAIL(&head, n1, entries); n2 = malloc(sizeof(struct entry)); /* 後ろに挿入する。*/ CIRCLEQ_INSERT_AFTER(&head, n1, n2, entries); n2 = malloc(sizeof(struct entry)); /* 前に挿入する。*/ CIRCLEQ_INSERT_BEFORE(&head, n1, n2, entries); /* 順方向に辿る。*/ for (np = head.cqh_first; np != (void *)&head; np = np->entries.cqe_next) np-> ... /* 逆方向に辿る。*/ for (np = head.cqh_last; np != (void *)&head; np = np->entries.cqe_prev) np-> ... /* 削除する。*/ while (head.cqh_first != (void *)&head) CIRCLEQ_REMOVE(&head, head.cqh_first, entries);
準拠¶
POSIX.1-2001 にはない。 BSD 系に存在する。 queue 関数は 4.4BSD で初めて登場した。この文書について¶
この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.79 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。2007-12-28 | Linux |