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iptables-extensions(8) iptables 1.4.21 iptables-extensions(8)

名前

iptables-extensions — 標準の iptables に含まれる拡張モジュールのリスト

書式

ip6tables [-m name [module-options...]] [-j target-name [target-options...]

iptables [-m name [module-options...]] [-j target-name [target-options...]

マッチングの拡張

iptables は拡張されたパケットマッチングモジュールを使うことができる。 使用するモジュールは -m--match の後ろにモジュール名に続けて指定する。 モジュール名の後ろには、 モジュールに応じて他のいろいろなコマンドラインオプションを指定することができる。 複数の拡張マッチングモジュールを一行で指定することができる。 モジュールの指定より後ろで -h--help を指定すると、 モジュール固有のヘルプが表示される。 拡張マッチングモジュールはルールで指定された順序で評価される。

-p--protocol が指定され、 かつ未知のオプションだけが指定されていた場合にのみ、 iptables はプロトコルと同じ名前のマッチモジュールをロードし、 そのオプションを使えるようにしようとする。

addrtype

このモジュールは、 アドレス種別 (address type) に基づいてパケットマッチングを行う。 アドレス種別はカーネルのネットワークスタック内で使われており、 アドレスはいくつかグループに分類される。 厳密なグループの定義は個々のレイヤ 3 プロトコルに依存する。

以下のアドレスタイプが利用できる。

UNSPEC
アドレスを指定しない (つまりアドレス 0.0.0.0)
UNICAST
ユニキャストアドレス
LOCAL
ローカルアドレス
BROADCAST
ブロードキャストアドレス
ANYCAST
エニーキャストアドレス
MULTICAST
マルチキャストアドレス
BLACKHOLE
ブラックホールアドレス
UNREACHABLE
到達できないアドレス
PROHIBIT
禁止されたアドレス
THROW
要修正
NAT
要修正
XRESOLVE
[!] --src-type type
送信元アドレスが指定された種類の場合にマッチする。
[!] --dst-type type
宛先アドレスが指定された種類の場合にマッチする。
--limit-iface-in
アドレス種別のチェックをそのパケットが受信されたインターフェースに限定する。 このオプションは PREROUTING, INPUT, FORWARD チェインでのみ利用できる。 --limit-iface-out オプションと同時に指定することはできない。
--limit-iface-out
アドレス種別のチェックをそのパケットが出力されるインターフェースに限定する。 このオプションは POSTROUTING, OUTPUT, FORWARD チェインでのみ利用できる。 --limit-iface-in オプションと同時に指定することはできない。

ah (IPv6 のみ)

このモジュールは IPsec パケットの認証ヘッダーのパラメータにマッチする。
[!] --ahspi spi[:spi]
SPI にマッチする。
[!] --ahlen length
このヘッダーの全体の長さ (8進数)。
--ahres
予約フィールドが 0 で埋められている場合にマッチする。

ah (IPv4 の場合)

このモジュールは IPsec パケットの認証ヘッダー (AH) の SPI 値にマッチする。
[!] --ahspi spi[:spi]

bpf

Linux Socket Filter を使ってマッチを行う。 BPF プログラムを 10 進数形式で指定する。 これは nfbpf_compile ユーティリティにより生成されるフォーマットである。
--bytecode code
BPF バイトコードフォーマットを渡す (フォーマットについては下記の例で説明)。

コードのフォーマットは tcpdump の -ddd コマンドの出力に似ている。 最初に命令数が入った行が 1 行あり、 1 行 1 命令がこれに続く。 命令行は 'u16 u8 u8 u32' のパターンで 10 進数で指定する。 各フィールドは、命令、 true 時のジャンプオフセット、 false 時のジャンプオフセット、 汎用で様々な用途に使用するフィールド 'K' である。 コメントはサポートされていない。

例えば 'ip proto 6' にマッチするパケットのみを読み込むには、以下を挿入すればよい (コムと末尾のホワイトスペースは含めずに)。

4 # 命令数
48 0 0 9 # load byte ip->proto
21 0 1 6 # jump equal IPPROTO_TCP
6 0 0 1 # return pass (non-zero)
6 0 0 0 # return fail (zero)

このフィルターを bpf マッチに渡すには以下のコマンドのようにする。

iptables -A OUTPUT -m bpf --bytecode '4,48 0 0 9,21 0 1 6,6 0 0 1,6 0 0 0' -j ACCEPT

代わりに、 nfbpf_compile ユーティリティを使う方法もある。

iptables -A OUTPUT -m bpf --bytecode "`nfbpf_compile RAW 'ip proto 6'`" -j ACCEPT

BPF についてもっと詳しく知るには FreeBSD の bpf(4) manpage を見るといいだろう。

cluster

このモジュールを使うと、負荷分散装置なしで、ゲートウェイとバックエンドの負荷分散クラスターを配備できる。

This match requires that all the nodes see the same packets. Thus, the cluster match decides if this node has to handle a packet given the following options:

--cluster-total-nodes num
クラスターの総ノード数を設定する。
[!] --cluster-local-node num
ローカルノードの数字の ID を設定する。
[!] --cluster-local-nodemask mask
ローカルノードの ID マスクを設定する。 このオプションは --cluster-local-node の代わりに使うことができる。
--cluster-hash-seed value
Jenkins ハッシュのシード値を設定する。

例:

iptables -A PREROUTING -t mangle -i eth1 -m cluster --cluster-total-nodes 2 --cluster-local-node 1 --cluster-hash-seed 0xdeadbeef -j MARK --set-mark 0xffff
iptables -A PREROUTING -t mangle -i eth2 -m cluster --cluster-total-nodes 2 --cluster-local-node 1 --cluster-hash-seed 0xdeadbeef -j MARK --set-mark 0xffff
iptables -A PREROUTING -t mangle -i eth1 -m mark ! --mark 0xffff -j DROP
iptables -A PREROUTING -t mangle -i eth2 -m mark ! --mark 0xffff -j DROP

以下のコマンドで、 すべてのノードに同じパケットを届けることができる。

ip maddr add 01:00:5e:00:01:01 dev eth1
ip maddr add 01:00:5e:00:01:02 dev eth2
arptables -A OUTPUT -o eth1 --h-length 6 -j mangle --mangle-mac-s 01:00:5e:00:01:01
arptables -A INPUT -i eth1 --h-length 6 --destination-mac 01:00:5e:00:01:01 -j mangle --mangle-mac-d 00:zz:yy:xx:5a:27
arptables -A OUTPUT -o eth2 --h-length 6 -j mangle --mangle-mac-s 01:00:5e:00:01:02
arptables -A INPUT -i eth2 --h-length 6 --destination-mac 01:00:5e:00:01:02 -j mangle --mangle-mac-d 00:zz:yy:xx:5a:27

NOTE: the arptables commands above use mainstream syntax. If you are using arptables-jf included in some RedHat, CentOS and Fedora versions, you will hit syntax errors. Therefore, you'll have to adapt these to the arptables-jf syntax to get them working.

TCP 接続の場合には、応答方向で受信した TCP ACK パケットが有効とマークされないようにするため、ピックアップ (pickup) 機能を無効する必要がある。

echo 0 > /proc/sys/net/netfilter/nf_conntrack_tcp_loose

comment

ルールにコメント (最大 256 文字) を付けることができる。
--comment comment
例:
iptables -A INPUT -i eth1 -m comment --comment "my local LAN"

connbytes

一つのコネクション (もしくはそのコネクションを構成する 2 つのフローの一方) でそれまでに転送されたバイト数やパケット数、 もしくはパケットあたりの平均バイト数にマッチする。

カウンターは 64 ビットであり、したがってオーバーフローすることは考えられていない ;)

主な利用方法は、長時間存在するダウンロードを検出し、 これらに印を付けることで、 トラフィック制御において艇優先帯域を使うようにスケジューリングできるようにすることである。

コネクションあたりの転送バイト数は、 `conntrack -L` 経由で見ることができ、 ctnetlink 経由でもアクセスすることもできる。

アカウント情報を持っていないコネクションでは、 このマッチングは常に false を返す点に注意すること。 "net.netfilter.nf_conntrack_acct" sysctl フラグで、 新規コネクションでバイト数/パケット数の計測が行われるかが制御できる。 sysctl フラグが変更されても、 既存のコネクションのアカウント情報は影響を受けない。

[!] --connbytes from[:to]
パケット数/バイト数/平均パケットサイズが FROM バイト/パケットより大きく TO バイト/パケットよりも小さいコネクションのパケットにマッチする。 TO が省略した場合は FROM のみがチェックされる。 "!" を使うと、 この範囲にないパケットにマッチする。
--connbytes-dir {original|reply|both}
どのパケットを計測するかを指定する
--connbytes-mode {packets|bytes|avgpkt}
パケット総数、転送バイト数、これまでに受信した全パケットの平均サイズ (バイト単位) のどれをチェックするかを指定する。 "both" と "avgpkt" を組み合わせて使った場合で、 (HTTP のように) データが (主に) 片方向でのみ転送される場合、 平均パケットサイズは実際のデータパケットの約半分になる点に注意すること。
例:
iptables .. -m connbytes --connbytes 10000:100000 --connbytes-dir both --connbytes-mode bytes ...

connlimit

一つのサーバーに対する、 一つのクライアント IP アドレス (またはクライアントアドレスブロック) からの同時接続数を制限することができる。
--connlimit-upto n
既存の接続数が n 以下の場合にマッチする。
--connlimit-above n
既存の接続数が n より多い場合にマッチする。
--connlimit-mask prefix_length
プレフィックス長を使ってホストのグルーピングを行う。 IPv4 の場合には、プレフィックス長は 0 以上 32 以下の値でなければならない。 IPv6 の場合には 0 以上 128 以下でなければならない。 指定しなかった場合、そのプロトコルで使われる最も長いプレフィックス長が使用される。
--connlimit-saddr
送信元グループに対して制限を適用する。 これが --connlimit-daddr が指定されなかった場合のデフォルトである。
--connlimit-daddr
宛先グループに対して制限を適用する。

例:

# クライアントホストあたり 2 つの telnet 接続を許可する
iptables -A INPUT -p tcp --syn --dport 23 -m connlimit --connlimit-above 2 -j REJECT
# 同じことのに行う別のマッチ方法
iptables -A INPUT -p tcp --syn --dport 23 -m connlimit --connlimit-upto 2 -j ACCEPT
# クラス C の送信元ネットワーク (ネットマスクが 24 ビット) あたりの同時 HTTP リクエスト数を 16 までに制限する
iptables -p tcp --syn --dport 80 -m connlimit --connlimit-above 16 --connlimit-mask 24 -j REJECT
# リンクローカルネットワークからの同時 HTTP リクエスト数を 16 までに制限する
(ipv6) ip6tables -p tcp --syn --dport 80 -s fe80::/64 -m connlimit --connlimit-above 16 --connlimit-mask 64 -j REJECT
# 特定のホスト宛のコネクション数を制限する
ip6tables -p tcp --syn --dport 49152:65535 -d 2001:db8::1 -m connlimit --connlimit-above 100 -j REJECT

connmark

このモジュールはコネクションに関連づけられた netfilter の mark フィールドにマッチする (このフィールドは、 以下の CONNMARK ターゲットで設定される)。
[!] --mark value[/mask]
指定された mark 値を持つコネクションのパケットにマッチする (mask が指定されると、 比較の前に mask との論理積 (AND) がとられる)。

conntrack

コネクション追跡 (connection tracking) と組み合わせて使用した場合に、 このモジュールを使うと、 パケットやコネクションの追跡状態を知ることができる。
[!] --ctstate statelist
statelist はマッチするコネクション状態 (connection state) のリストで、 コンマ区切りで指定する。 指定できる状態のリストは後述。
[!] --ctproto l4proto
指定されたレイヤ 4 のプロトコルにマッチする。 プロトコルは名前または数値で指定する。
[!] --ctorigsrc address[/mask]
[!] --ctorigdst address[/mask]
[!] --ctreplsrc address[/mask]
[!] --ctrepldst address[/mask]
順方向/反対方向のコネクションの送信元/宛先アドレスにマッチする。
[!] --ctorigsrcport port[:port]
[!] --ctorigdstport port[:port]
[!] --ctreplsrcport port[:port]
[!] --ctrepldstport port[:port]
順方向/反対方向のコネクションの (TCP/UDPなどの) 送信元/宛先ポートアドレス、 もしくは GRE キーにマッチする。 ポートの範囲指定はカーネル 2.6.38 以降でのみサポートされている。
[!] --ctstatus statelist
statuslist はマッチするコネクション状況 (connection status) のリストで、 コンマ区切りで指定する。 指定できる状況のリストは後述。
[!] --ctexpire time[:time]
有効期間の残り秒数、 またはその範囲(両端を含む)にマッチする。
--ctdir {ORIGINAL|REPLY}
指定した方向に流れるパケットにマッチする。 このフラグが全く指定されなかった場合、 両方向のパケットがマッチする。

--ctstate に指定できる状態は以下の通り。

INVALID
そのパケットはどの既知のコネクションとも関連付けられていない。
NEW
そのパケットが新しいコネクションを開始しようとしている。 もしくは、 両方の方向でパケットが観測されていないコネクションに関連付けられる。
ESTABLISHED
そのパケットが、 両方向のパケットが観測されたコネクションに関連付けられる。
RELATED
そのパケットは、新しいコネクションを開始しようとしているが、 既存のコネクションと関連付けられる。 FTP データ転送や ICMP エラーなどが該当する。
UNTRACKED
そのパケットは全く追跡されていない。 この状態は、 raw テーブルで -j CT --notrack を使って明示的にそのパケットを追跡しないようにしている場合に起こる。
SNAT
元の送信元アドレスが応答の宛先アドレスと異なる場合にマッチする仮想的な状態。
DNAT
元の宛先アドレスが応答の送信元アドレスと異なる場合にマッチする仮想的な状態。

--ctstatus に指定できる値は以下の通り。

NONE
以下のいずれでもない。
EXPECTED
期待通りのコネクションである (つまり conntrack のヘルパーがコネクションをセットアップした)。
SEEN_REPLY
conntrack が両方の方向でパケットを観測済である。
ASSURED
conntrack エントリが early-expired されることはない。
CONFIRMED
Connection is confirmed: originating packet has left box.

cpu

[!] --cpu number
このパケットを処理する CPU にマッチする。 CPU には 0 から NR_CPUS-1 の番号が振られる。 ネットワークトラフィックを複数のキューに分散させるために RPS (Remote Packet Steering) やマルチキュー NIC と組み合わせて使用できる。

例:

iptables -t nat -A PREROUTING -p tcp --dport 80 -m cpu --cpu 0 -j REDIRECT --to-port 8080

iptables -t nat -A PREROUTING -p tcp --dport 80 -m cpu --cpu 1 -j REDIRECT --to-port 8081

Linux 2.6.36 以降で利用可能。

dccp

[!] --source-port,--sport port[:port]
[!] --destination-port,--dport port[:port]
[!] --dccp-types mask
DCCP パケットタイプが mask のいずれかであればマッチする。 mask はカンマ区切りのパケットタイプのリストである。 指定できるパケットタイプは REQUEST RESPONSE DATA ACK DATAACK CLOSEREQ CLOSE RESET SYNC SYNCACK INVALID である。
[!] --dccp-option number
DCCP オプションが設定されている場合にマッチする。

devgroup

パケットの受信/送信インターフェースのデバイスグループにマッチする。
[!] --src-group name
受信デバイスのデバイスグループにマッチする
[!] --dst-group name
送信デバイスのデバイスグループにマッチする

dscp

このモジュールは、 IP ヘッダーの TOS フィールド内にある、 6 bit の DSCP フィールドにマッチする。 IETF では DSCP が TOS に取って代わった。
[!] --dscp value
(10 進または 16 進の) 数値 [0-63] にマッチする。
[!] --dscp-class class
DiffServ クラスにマッチする。 値は BE, EF, AFxx, CSx クラスのいずれかである。 対応する数値に変換される。

dst (IPv6 のみ)

このモジュールは宛先オプションヘッダーのパラメータにマッチする。
[!] --dst-len length
このヘッダーの全体の長さ (8進数)。
--dst-opts type[:length][,type[:length]...]
数値のオプションタイプとオプションデータのオクテット単位の長さ。

ecn

IPv4/IPv6 と TCP ヘッダーの ECN ビットにマッチングを行う。 ECN とは RFC3168 で規定された Explicit Congestion Notification (明示的な輻輳通知) 機構のことである。
[!] --ecn-tcp-cwr
TCP ECN CWR (Congestion Window Received) ビットがセットされている場合にマッチする。
[!] --ecn-tcp-ece
TCP ECN ECE (ECN Echo) ビットがセットされている場合にマッチする。
[!] --ecn-ip-ect num
特定の IPv4/IPv6 ECT (ECN-Capable Transport) にマッチする。 `0' 以上 `3' 以下の値を指定しなければならない。

esp

このモジュールは IPsec パケットの ESP ヘッダーの SPI 値にマッチする。
[!] --espspi spi[:spi]

eui64 (IPv6 のみ)

このモジュールは stateless の自動で設定された IPv6 アドレスの EUI-64 の部分にマッチする。 Ethernet の送信元 MAC アドレスに基づく EUI-64 と IPv6 送信元アドレスの下位 64 ビットの比較が行われる。 ただし "Universal/Local" ビットは比較されない。 このモジュールは他のリンク層フレームにはマッチしない。 このモジュールは PREROUTING, INPUT, FORWARD チェインでのみ有効である。

frag (IPv6 のみ)

このモジュールはフラグメントヘッダーのパラメータにマッチする。
[!] --fragid id[:id]
指定された値もしくは範囲の ID にマッチする。
[!] --fraglen length
このオプションはバージョン 2.6.10 以降のカーネルでは使用できない。 フラグメントヘッダー長は変化しないので、このオプションは意味を持たない。
--fragres
予約フィールドに 0 が入っている場合にマッチする。
--fragfirst
最初のフラグメントにマッチする。
--fragmore
さらにフラグメントが続く場合にマッチする。
--fraglast
最後のフラグメントの場合にマッチする。

hashlimit

hashlimit uses hash buckets to express a rate limiting match (like the limit match) for a group of connections using a single iptables rule. Grouping can be done per-hostgroup (source and/or destination address) and/or per-port. It gives you the ability to express "N packets per time quantum per group" or "N bytes per seconds" (see below for some examples).

hash limit オプション (--hashlimit-upto, --hashlimit-above) と --hashlimit-name は必須である。

--hashlimit-upto amount[/second|/minute|/hour|/day]
単位時間あたりの平均マッチ回数の最大値。 数値で指定され、 添字 `/second', `/minute', `/hour', `/day' を付けることもできる。 デフォルトは 3/hour である。
--hashlimit-above amount[/second|/minute|/hour|/day]
レートが指定された区間での amount より大きい場合にマッチする。
--hashlimit-burst amount
パケットがマッチする回数の最大初期値: 上のオプションで指定した制限に達しなければ、 マッチするごとに、 この数値になるまで 1 個ずつ増やされる。 デフォルトは 5 である。 バイトでのレート照合が要求された場合、 このオプションは指定レートを超過できるバイト数を規定する。 このオプションを使用する際には注意が必要である -- エントリがタイムアウトで削除される際に、バースト値もリセットされる。
--hashlimit-mode {srcip|srcport|dstip|dstport},...
対象とする要素のカンマ区切りのリスト。 --hashlimit-mode オプションが指定されなかった場合、 hashlimit は limit と同じ動作をするが、 ハッシュの管理を行うコストがかかる。
--hashlimit-srcmask prefix
When --hashlimit-mode srcip is used, all source addresses encountered will be grouped according to the given prefix length and the so-created subnet will be subject to hashlimit. prefix must be between (inclusive) 0 and 32. Note that --hashlimit-srcmask 0 is basically doing the same thing as not specifying srcip for --hashlimit-mode, but is technically more expensive.
--hashlimit-dstmask prefix
Like --hashlimit-srcmask, but for destination addresses.
--hashlimit-name foo
/proc/net/ipt_hashlimit/foo エントリの名前。
--hashlimit-htable-size buckets
ハッシュテーブルのバケット数。
--hashlimit-htable-max entries
ハッシュの最大エントリ数。
--hashlimit-htable-expire msec
ハッシュエントリが何ミリ秒後に削除されるか。
--hashlimit-htable-gcinterval msec
ガベージコレクションの間隔 (ミリ秒)。

例:

送信元ホストに対するマッチ
"192.168.0.0/16 の各ホストに対して 1000 パケット/秒" => -s 192.168.0.0/16 --hashlimit-mode srcip --hashlimit-upto 1000/sec
送信元ポートに対するマッチ
"192.168.1.1 の各サービスに対して 100 パケット/秒" => -s 192.168.1.1 --hashlimit-mode srcport --hashlimit-upto 100/sec
サブネットに対するマッチ
"10.0.0.0/8 内の /28 サブネット (アドレス 8 個のグループ) それぞれに対して 10000 パケット/秒" => -s 10.0.0.0/8 --hashlimit-mask 28 --hashlimit-upto 10000/min
バイト/秒によるマッチ
"512kbyte/s を超過したフロー" => --hashlimit-mode srcip,dstip,srcport,dstport --hashlimit-above 512kb/s
バイト/秒によるマッチ
"512kbyte/s を超過するとマッチするが、 1 メガバイトに達するまではマッチせず許可する" --hashlimit-mode dstip --hashlimit-above 512kb/s --hashlimit-burst 1mb

hbh (IPv6 のみ)

このモジュールは Hop-by-Hop オプションヘッダーのパラメータにマッチする。
[!] --hbh-len length
このヘッダーの全体の長さ (8進数)。
--hbh-opts type[:length][,type[:length]...]
数値のオプションタイプとオプションデータのオクテット単位の長さ。

helper

このモジュールは、 指定されたコネクション追跡ヘルパーモジュールに 関連するパケットにマッチする。
[!] --helper string
指定されたコネクション追跡ヘルパーモジュールに 関連するパケットにマッチする。

デフォルトのポートを使った ftp-セッションに関連するパケットでは、 string に "ftp" と書ける。 他のポートでは "-ポート番号" を値に付け加える。 すなわち "ftp-2121" となる。

他のコネクション追跡ヘルパーでも同じルールが適用される。

hl (IPv6 のみ)

このモジュールは IPv6 ヘッダーの Hop Limit フィールドにマッチする。
[!] --hl-eq value
Hop Limit が value と同じ場合にマッチする。
--hl-lt value
Hop Limit が value より小さい場合にマッチする。
--hl-gt value
Hop Limit が value より大きい場合にマッチする。

icmp (IPv4 の場合)

この拡張は `--protocol icmp' が指定された場合に使用でき、 以下のオプションが提供される:
[!] --icmp-type {type[/code]|typename}
ICMP タイプを指定できる。 タイプ指定には、 数値の ICMP タイプ、 タイプ/コードの組、 または以下のコマンド で表示される ICMP タイプ名を指定できる。
 iptables -p icmp -h
    

icmp6 (IPv6 のみ)

これらの拡張は `--protocol ipv6-icmp' または `--protocol icmpv6' が指定された場合に使用でき、 以下のオプションが提供される:
[!] --icmpv6-type type[/code]|typename
ICMPv6 タイプを指定できる。 タイプ指定には、 数値の ICMP typetypecode、 または以下のコマンド で表示される ICMPv6 タイプ名を指定できる。
 ip6tables -p ipv6-icmp -h
    

iprange

このモジュールは指定された任意の範囲の IP アドレスにマッチする。
[!] --src-range from[-to]
指定された範囲の送信元 IP にマッチする。
[!] --dst-range from[-to]
指定された範囲の宛先 IP にマッチする。

ipv6header (IPv6 のみ)

このモジュールは IPv6 拡張ヘッダー、 上位レイヤのヘッダー、もしくはその両方にマッチする。
--soft
パケットが --header で指定されたヘッダーのいずれかを含む場合にマッチする。
[!] --header header[,header...]
Matches the packet which EXACTLY includes all specified headers. The headers encapsulated with ESP header are out of scope. Possible header types can be:
hop|hop-by-hop
Hop-by-Hop オプションヘッダー
dst
宛先オプションヘッダー
route
ルーティングヘッダー
frag
フラグメントヘッダー
auth
認証ヘッダー (AH)
esp
ESP (Encapsulating Security Payload) ヘッダー
none
No Next header which matches 59 in the 'Next Header field' of IPv6 header or any IPv6 extension headers
proto
which matches any upper layer protocol header. A protocol name from /etc/protocols and numeric value also allowed. The number 255 is equivalent to proto.

ipvs

IPVS コネクション属性にマッチする。
[!] --ipvs
IPVS コネクションに属すパケット
以下のオプションでは --ipvs も暗黙のうちに指定される (否定の場合も含む)
[!] --vproto protocol
マッチする VIP プロトコル (数値か名前 (例えば "tcp") で指定する)
[!] --vaddr address[/mask]
マッチする VIP アドレス
[!] --vport port
マッチする VIP プロトコル (数値か名前 (例えば
--vdir {ORIGINAL|REPLY}
パケットフローの方向
[!] --vmethod {GATE|IPIP|MASQ}
使用する IPVS の転送方法
[!] --vportctl port
マッチする制御用コネクションの VIP ポート (例えば FTP であれば 21)

length

このモジュールは、 パケットのレイヤ 3 ペイロード (例えばレイヤ 4 パケット) の長さが、 指定された値、 または値の範囲にあればマッチする。
[!] --length length[:length]

limit

このモジュールは、 トークンバケットフィルタを使って制限レートのマッチを行う。 この拡張を使ったルールは、指定された制限に達するまでマッチする。 例えば、 このモジュールはログ記録を制限するために LOG ターゲットと組み合わせて使うことができる。

xt_limit has no negation support - you will have to use -m hashlimit ! --hashlimit rate in this case whilst omitting --hashlimit-mode.

--limit rate[/second|/minute|/hour|/day]
単位時間あたりの平均マッチ回数の最大値。 数値で指定され、 添字 `/second', `/minute', `/hour', `/day' を付けることもできる。 デフォルトは 3/hour である。
--limit-burst number
パケットがマッチする回数の最大初期値: 上のオプションで指定した制限に達しなければ、 マッチするごとに、 この数値になるまで 1 個ずつ増やされる。 デフォルトは 5 である。

mac

[!] --mac-source address
送信元 MAC アドレスにマッチする。 address は XX:XX:XX:XX:XX:XX と いう形式でなければならない。 イーサーネットデバイスから入ってくるパケッ トで、 PREROUTING, FORWARD, INPUT チェインに入るパケットにしか 意味がない。

mark

このモジュールはパケットに関連づけられた netfilter の mark フィールドにマッチする (このフィールドは、 以下の MARK ターゲットで設定される)。
[!] --mark value[/mask]
指定された符号なしの mark 値を持つパケットにマッチする (mask が指定されると、 比較の前に mask との論理積 (AND) がとられる)。

mh (IPv6 のみ)

この拡張は `--protocol ipv6-mh' または `--protocol mh' が指定された場合にロードされる。 以下のオプションが提供される。
[!] --mh-type type[:type]
Mobility Header (MH) タイプを指定できる。 タイプ指定には、 数値の MH タイプか、 以下のコマンドで表示される MH タイプ名を指定できる。
 ip6tables -p mh -h
    

multiport

このモジュールは送信元ポートや宛先ポートの集合にマッチする。 ポートは 15 個まで指定できる。 ポートの範囲指定 (port:port) は 2 ポートとカウントされる。 このモジュールが使用できるのは tcp, udp, udplite, dccp, sctp のいずれかと組み合わせた場合だけである。
[!] --source-ports,--sports port[,port|,port:port]...
送信元ポートが指定されたポートのいずれにマッチする。 フラグ --sports はこのオプションの便利な別名である。 複数のポートやポート範囲がカンマ区切りで指定できる。 ポート範囲はコロン区切りで指定する。 したがって 53,1024:65535 はポート 53 および 1024 から 65535 までの全ポートにマッチする。
[!] --destination-ports,--dports port[,port|,port:port]...
宛先ポートが指定されたポートのうちのいずれかであればマッチする。 フラグ --dports は、 このオプションの便利な別名である。
[!] --ports port[,port|,port:port]...
送信元ポートと宛先ポートの一方が指定されたポートのいずれか一つと等しければ、 マッチする。

nfacct

nfacct マッチングは iptable に拡張アカウンティング機構を提供する。 このマッチングモジュールはユーザー空間スタンドアロンユーティリティ nfacct(8) と一緒に使う必要がある。

以下のオプションだけがこのマッチングで使用できる。

--nfacct-name name
このルールセットがマッチするトラフィック量を記録するのに使用する既存のオブジェクト名を指定する。

この拡張を使用するには、アカウンティングオブジェクトを作成する必要があります。

nfacct add http-traffic

それから、iptables を使ってアカウンティングオブジェクトにトラフィックを関連付けます。

iptables -I INPUT -p tcp --sport 80 -m nfacct --nfacct-name http-traffic
iptables -I OUTPUT -p tcp --dport 80 -m nfacct --nfacct-name http-traffic

そうすると、ルールにマッチしたトラフィック量をチェックできる。

nfacct get http-traffic
{ pkts = 00000000000000000156, bytes = 00000000000000151786 } = http-traffic;

nfacct(8) は http://www.netfilter.org もしくは git.netfilter.org リポジトリから入手できる。

osf

osf モジュールは受動的な OS (オペレーティングシステム) フィンガープリンティングを行う。 このモジュールは SYN ビットがセットされたパケットのいくつかのデータ (Window Size, MSS, オプションとその順序, TTL, DF など) を比較する。
[!] --genre string
受動的フィンガープリンティングでマッチさせるオペレーティングシステムのジャンル。
--ttl level
パケットに対して、オペレーティングシステムを判定するための追加の TTL チェックを行う。 level には以下の値のいずれを指定できる。
  • 0 - 本当の IP アドレスとフィンガープリント TTL の比較を行う。 一般に LAN で有効である。
  • 1 - IP ヘッダーの TTL がフィンガープリント TTL より小さいかチェックする。 グローバルにルーティング可能なアドレスで有効である。
  • 2 - TTL の比較を全く行わない。
--log level
判別したジャンルが期待するものと違う場合でもロギングするかどうか。 level には以下のいずれかを指定できる。
  • マッチしたシグネチャーと不明なシグネチャーをすべて記録する
  • 1 - 最初にマッチしたもののみを記録する
  • 2 - マッチした既知のシグネチャーをすべて記録する

syslog に以下のようなメッセージが記録される。

Windows [2000:SP3:Windows XP Pro SP1, 2000 SP3]: 11.22.33.55:4024 -> 11.22.33.44:139 hops=3 Linux [2.5-2.6:] : 1.2.3.4:42624 -> 1.2.3.5:22 hops=4

OS フィンガープリントは nfnl_osf プログラムを使ってロードできる。 ファイルからフィンガープリントをロードするには以下のようにする。

nfnl_osf -f /usr/share/xtables/pf.os

再度削除するには以下のようにする。

nfnl_osf -f /usr/share/xtables/pf.os -d

フィンガープリントデータベースは http://www.openbsd.org/cgi-bin/cvsweb/src/etc/pf.os からダウンロードできる。

owner

このモジュールは、 ローカルで生成されたパケットに対して、 パケット生成者の様々な特性に対するマッチを行う。 このマッチは OUTPUT チェインか POSTROUTING チェインでのみ有効である。 転送パケットはどのソケットとも関連付けられていない。 カーネルスレッドからのパケットには対応するソケットがあるが、 通常ソケットの所有者はいない。
[!] --uid-owner username
[!] --uid-owner userid[-userid]
そのパケットのソケットのファイル構造体が存在し、ソケットの所有者が指定されたユーザーの場合にマッチする。 数値の UID や UID の範囲を指定することもできる。
[!] --gid-owner groupname
[!] --gid-owner groupid[-groupid]
そのパケットのソケットのファイル構造体の所有者が指定されたグループの場合にマッチする。 数値の GID や GID の範囲を指定することもできる。
[!] --socket-exists
パケットがソケットに関連付けられている場合にマッチする。

physdev

このモジュールは、 ブリッジデバイスのスレーブにされた、 ブリッジポートの入出力デバイスにマッチする。 このモジュールは、 ブリッジによる透過的な IP ファイアウォールの基盤の一部であり、 カーネルバージョン 2.5.44 以降でのみ有効である。
[!] --physdev-in name
パケットが受信されるブリッジのポート名 (INPUT, FORWARD, PREROUTING チェインに入るパケットのみ)。 インターフェース名が "+" で終っている場合、 その名前で始まる任意のインターフェース名にマッチする。 ブリッジデバイスを通して受け取られなかったパケットは、 '!' が指定されていない限り、 このオプションにマッチしない。
[!] --physdev-out name
パケットを送信することになるブリッジのポート名 (FORWARD, OUTPUT, POSTROUTING チェインに入るパケットのみ)。 インターフェース名が "+" で終っている場合、 その名前で始まる任意のインターフェース名にマッチする。 natmangle テーブルの OUTPUT チェインではブリッジの出力ポートにマッチさせることができないが、 filter テーブルの OUPUT チェインではマッチ可能である。 パケットがブリッジデバイスから送られなかった場合、 またはパケットの出力デバイスが不明であった場合は、 '!' が指定されていない限り、 パケットはこのオプションにマッチしない。
[!] --physdev-is-in
パケットがブリッジインターフェースに入った場合にマッチする。
[!] --physdev-is-out
パケットがブリッジインターフェースから出ようとした場合にマッチする。
[!] --physdev-is-bridged
パケットがブリッジされることにより、 ルーティングされなかった場合にマッチする。 これは FORWARD, POSTROUTING チェインにおいてのみ役立つ。

pkttype

このモジュールは、 リンク層のパケットタイプにマッチする。
[!] --pkt-type {unicast|broadcast|multicast}

policy

このモジュールはパケットを処理する IPsec が使用するポリシーにマッチする。
--dir {in|out}
復号 (decapsulation) に使用するポリシーにマッチするか、カプセル化 (encapsulation) に使用するポリシーにマッチするかを指定する。 in はチェイン PREROUTING, INPUT, FORWARD で有効で、 out はチェイン POSTROUTING, OUTPUT, FORWARD で有効である。
--pol {none|ipsec}
パケットが IPsec 処理対象であればマッチする。 --pol none--strict と一緒に使用できない。
--strict
ポリシーが正確にマッチするか、指定したポリシーがポリシーのいずれかのルールにマッチするかを指定する。

それぞれのポリシー要素を定義するのに、以下のオプション (複数可) を使用することができる。 --strict が有効になっている場合、各要素につき少なくともオプションを一つ指定しなければならない。

[!] --reqid id
ポリシールールの reqid にマッチする。 reqid は setkey(8) でレベルとして unique:id を使って指定できる。
[!] --spi spi
SA の SPI にマッチする。
[!] --proto {ah|esp|ipcomp}
カプセル化プロトコルにマッチする。
[!] --mode {tunnel|transport}
カプセル化モードにマッチする。
[!] --tunnel-src addr[/mask]
トンネルモード SA の送信元エンドポイントアドレスにマッチする。 --mode tunnel との組み合わせでのみ有効。
[!] --tunnel-dst addr[/mask]
トンネルモード SA の宛先エンドポイントアドレスにマッチする。 --mode tunnel との組み合わせでのみ有効。
--next
ポリシー定義の次の要素から開始する。 --strict との組み合わせでのみ使用できる。

quota

Implements network quotas by decrementing a byte counter with each packet. The condition matches until the byte counter reaches zero. Behavior is reversed with negation (i.e. the condition does not match until the byte counter reaches zero).
[!] --quota bytes
バイト単位のクォータ。

rateest

レート推測器 (rate estimator) は RATEEST ターゲットで収集された推定レートにマッチする。 bps/pps の絶対値に対するマッチング、 2 つのレート推測器の比較、 2 つのレート推測器の差分に対するマッチングをサポートしている。

利用可能なオプションが分かりやすいように、すべての可能な組み合わせを以下に示す。

  • rateest operator rateest-bps
  • rateest operator rateest-pps
  • (rateest minus rateest-bps1) operator rateest-bps2
  • (rateest minus rateest-pps1) operator rateest-pps2
  • rateest1 operator rateest2 rateest-bps(without rate!)
  • rateest1 operator rateest2 rateest-pps(without rate!)
  • (rateest1 minus rateest-bps1) operator (rateest2 minus rateest-bps2)
  • (rateest1 minus rateest-pps1) operator (rateest2 minus rateest-pps2)
--rateest-delta
(絶対モードでも相対モードでも) 各レート推測器について、 レート推測器が推測したフローレートと BPS/PPS オプションで指定された固定値の差分を計算する。 フローレートが指定された BPS/PPS よりも大きい場合、 負の値ではなく 0 が代わりに使用される。 つまり "max(0, rateest#_rate - rateest#_bps)" が使用される。
[!] --rateest-lt
レートが指定されたレートかレート推測器のレートよりも低い場合にマッチする。
[!] --rateest-gt
レートが指定されたレートかレート推測器のレートよりも高い場合にマッチする。
[!] --rateest-eq
レートが指定されたレートかレート推測器のレートと等しい場合にマッチする。

いわゆる「絶対モード」では、使用できるレート推測器は一つだけであり、固定値に対する比較だけができる。一方、「相対モード」では、2 つのレート推測器が使用でき、レート推測器どうしの比較ができる。

--rateest name
絶対モードで使用するレート推測器の名前
--rateest1 name
--rateest2 name
相対モードで使用する 2 つレート推測器の名前
--rateest-bps [value]
--rateest-pps [value]
--rateest-bps1 [value]
--rateest-bps2 [value]
--rateest-pps1 [value]
--rateest-pps2 [value]
レート推測器と指定した値を、秒間のバイト数またはパケット数で比較する。 どのオプションがどの場合に使用できるかは上の箇条書きのリストを見てほしい。 単位を示す接尾辞を付けることができる。 bit, [kmgt]bit, [KMGT]ibit, Bps, [KMGT]Bps, [KMGT]iBps が使用できる。

例: この機能を、データコネクションの開始時に利用可能帯域に基づいて、 FTP サーバーからの出力データコネクションを 2 つの回線に振り分けるのに使用する場合。

# 出力レートを推定する

iptables -t mangle -A POSTROUTING -o eth0 -j RATEEST --rateest-name eth0 --rateest-interval 250ms --rateest-ewma 0.5s

iptables -t mangle -A POSTROUTING -o ppp0 -j RATEEST --rateest-name ppp0 --rateest-interval 250ms --rateest-ewma 0.5s

# 利用可能帯域に基づいてマーキングを行う

iptables -t mangle -A balance -m conntrack --ctstate NEW -m helper --helper ftp -m rateest --rateest-delta --rateest1 eth0 --rateest-bps1 2.5mbit --rateest-gt --rateest2 ppp0 --rateest-bps2 2mbit -j CONNMARK --set-mark 1

iptables -t mangle -A balance -m conntrack --ctstate NEW -m helper --helper ftp -m rateest --rateest-delta --rateest1 ppp0 --rateest-bps1 2mbit --rateest-gt --rateest2 eth0 --rateest-bps2 2.5mbit -j CONNMARK --set-mark 2

iptables -t mangle -A balance -j CONNMARK --restore-mark

realm (IPv4 の場合)

This matches the routing realm. Routing realms are used in complex routing setups involving dynamic routing protocols like BGP.
[!] --realm value[/mask]
Matches a given realm number (and optionally mask). If not a number, value can be a named realm from /etc/iproute2/rt_realms (mask can not be used in that case).

recent

IP アドレスのリストを動的に作成し、このリストに対するマッチングをいくつかの方法で行う。

例えば、 あなたのファイアウォールの 139 番ポートに接続しようとした「悪ガキ」リストを作成し、 そのアドレスからのこれ以降のすべてのパケットを「廃棄」する。

--set, --rcheck, --update, --remove は同時に使用できない。

--name name
コマンドで使用するリストを指定する。名前が指定されなかった場合 DEFAULT が使用される。
[!] --set
リストにパケットの送信元アドレスを追加する。 その送信元アドレスがすでにリストにある場合は、既存のエントリーを更新する。 常に成功を返す (! が指定されている場合は常に失敗を返す)。
--rsource
recent リストのテーブルの照合/保存で、各パケットの送信元アドレスを使う。 これがデフォルトである。
--rdest
recent リストのテーブルの照合/保存で、各パケットの宛先アドレスを使う。
--mask netmask
この recent リストに適用するネットマスク。
[!] --rcheck
このパケットの送信元アドレスが現在リストに含まれるかをチェックする。
[!] --update
--rcheck と同じだが、 このオプションではマッチした場合に "last seen" タイムスタンプを更新する。
[!] --remove
パケットの送信元アドレスが現在リストに含まれているかをチェックし、 含まれている場合、そのアドレスをリストから削除し、ルールは true を返す。 アドレスが含まれない場合、false を返す。
--seconds seconds
このオプションは --rcheck--update との組み合わせでのみ使用できる。 使用された場合、 アドレスがリストに含まれ、かつそのアドレスが直近の指定された秒数以内に観測された場合にのみ、 マッチするようになる。
--reap
このオプションは --seconds との組み合わせでのみ使用できる。 使用された場合、 最後に指定された秒数より古いエントリーを破棄する。
--hitcount hits
このオプションは --rcheck--update との組み合わせて使用しなければならない。 使用された場合、 アドレスがリストに含まれ、受信されたパケット数が指定した値以上の場合にのみマッチするようになる。 このオプションは --seconds と共に使用することもでき、 その場合は指定された時間内のヒット数に対して照合を行う。 hitcount パラメータの最大値は xt_recent カーネルモードの "ip_pkt_list_tot" パラメータで規定される。 このコマンドリストでこの値よりも大きな値を指定すると、そのルールは拒否される。
--rttl
このオプションは --rcheck--update との組み合わせでのみ使用できる。 使用された場合、 アドレスがリストに含まれ、かつ現在のパケットの TTL が --set ルールにヒットしたパケットの TTL にマッチする場合にのみマッチするようになる。 このオプションは、 送信元アドレスを偽装する人が偽りのパケットを送信して、このモジュールを使ってあなたのサイトへの他のアクセスができないようにする DoS 攻撃がある場合などに役に立つかもしれない。

例:

iptables -A FORWARD -m recent --name badguy --rcheck --seconds 60 -j DROP
iptables -A FORWARD -p tcp -i eth0 --dport 139 -m recent --name badguy --set -j DROP

/proc/net/xt_recent/* は現在のアドレスのリストと各リストの各エントリーの情報である。

/proc/net/xt_recent/ の各ファイルは、読み出して現在のリストを確認することができる。 また、以下のコマンドを使って、 これらのファイルに書き込んでリストを変更することができる。

echo +addr >/proc/net/xt_recent/DEFAULT
DEFAULT リストに addr を追加する
echo -addr >/proc/net/xt_recent/DEFAULT
DEFAULT リストから addr を削除する
echo / >/proc/net/xt_recent/DEFAULT
DEFAULT リストをフラッシュ (全エントリーを削除) する

モジュール自体もパラメーターを取り、デフォルトは以下の通りである。

ip_list_tot=100
テーブル単位の記録アドレス数。
ip_pkt_list_tot=20
アドレス単位の記録パケット数。
ip_list_hash_size=0
ハッシュテーブルサイズ。 0 は ip_list_tot に基づいて計算することを意味する。 デフォルトは 512。
ip_list_perms=0644
/proc/net/xt_recent/* ファイルのアクセス許可モード。
ip_list_uid=0
/proc/net/xt_recent/* ファイルの数値 ID での所有者。
ip_list_gid=0
/proc/net/xt_recent/* ファイルの数値 ID でのグループ所有者。

rpfilter

パケットに対して reverse path フィルターテストを行う。 パケットに対する応答がパケットが到着したインターフェースと同じインターフェースから送信される場合、そのパケットにマッチする。 カーネル内の rp_filter と異なり、 IPsec で保護されたパケットが特別扱いされない点に注意すること。 必要な場合は、このマッチをポリシーマッチと組み合わせて使うこと。 また、ループバックインターフェース経由で到着したパケットは常に許可される。 このマッチは raw テーブルまたは mangle テーブルの PREROUTING チェインでのみ使用できる。
--loose
選択された出力デバイスが期待されたものではない場合であっても、 reverse path フィルターテストのマッチを行うことを指示する。
--validmark
reverse path の経路検索実行時にそのパケットの nfmark 値も使用する。
--accept-local
ローカルマシンにも割り当てられている送信元アドレスを持つネットワークから到着したパケットを許可する。
--invert
マッチの意味を逆にする。 reverse path フィルターテストに合格したパケットにマッチするのではなく、テストに失敗したパケットにマッチする。

reverse path フィルターテストに失敗したパケットをロギングし破棄する例

iptables -t raw -N RPFILTER

iptables -t raw -A RPFILTER -m rpfilter -j RETURN

iptables -t raw -A RPFILTER -m limit --limit 10/minute -j NFLOG --nflog-prefix "rpfilter drop"

iptables -t raw -A RPFILTER -j DROP

iptables -t raw -A PREROUTING -j RPFILTER

失敗したパケットをドロップするが、ロギングを行わない例

iptables -t raw -A RPFILTER -m rpfilter --invert -j DROP

rt (IPv6 のみ)

IPv6 ルーティングヘッダーに対してマッチする。
[!] --rt-type type
指定したタイプ (数値) にマッチする。
[!] --rt-segsleft num[:num]
`segments left' フィールド (範囲) にマッチする。
[!] --rt-len length
このヘッダーの長さにマッチする。
--rt-0-res
予約フィールド (type=0) にもマッチする。
--rt-0-addrs addr[,addr...]
type=0 のアドレス (リスト) にマッチする。
--rt-0-not-strict
type=0 のアドレスのリストは厳密なリストではない。

sctp

[!] --source-port,--sport port[:port]
[!] --destination-port,--dport port[:port]
[!] --chunk-types {all|any|only} chunktype[:flags] [...]
大文字のフラグ文字はそのフラグがセットされている場合にマッチし、 小文字のフラグ文字はセットされていない場合にマッチすることを指示する。

チャンク種別: DATA INIT INIT_ACK SACK HEARTBEAT HEARTBEAT_ACK ABORT SHUTDOWN SHUTDOWN_ACK ERROR COOKIE_ECHO COOKIE_ACK ECN_ECNE ECN_CWR SHUTDOWN_COMPLETE ASCONF ASCONF_ACK FORWARD_TSN

チャンク種別で利用可能なフラグ
DATA I U B E i u b e
ABORT T t
SHUTDOWN_COMPLETE T t

(小文字はフラグを「オフ」にすることを、大文字は「オン」にすることを意味する)

例:

iptables -A INPUT -p sctp --dport 80 -j DROP

iptables -A INPUT -p sctp --chunk-types any DATA,INIT -j DROP

iptables -A INPUT -p sctp --chunk-types any DATA:Be -j ACCEPT

set

このモジュールは ipsec(8) で定義できる IP 集合にマッチする。
[!] --match-set setname flag[,flag]...
where flags are the comma separated list of src and/or dst specifications and there can be no more than six of them. Hence the command
iptables -A FORWARD -m set --match-set test src,dst
will match packets, for which (if the set type is ipportmap) the source address and destination port pair can be found in the specified set. If the set type of the specified set is single dimension (for example ipmap), then the command will match packets for which the source address can be found in the specified set.
--return-nomatch
If the --return-nomatch option is specified and the set type supports the nomatch flag, then the matching is reversed: a match with an element flagged with nomatch returns true, while a match with a plain element returns false.
! --update-counters
If the --update-counters flag is negated, then the packet and byte counters of the matching element in the set won't be updated. Default the packet and byte counters are updated.
! --update-subcounters
If the --update-subcounters flag is negated, then the packet and byte counters of the matching element in the member set of a list type of set won't be updated. Default the packet and byte counters are updated.
[!] --packets-eq value
If the packet is matched an element in the set, match only if the packet counter of the element matches the given value too.
--packets-lt value
If the packet is matched an element in the set, match only if the packet counter of the element is less than the given value as well.
--packets-gt value
If the packet is matched an element in the set, match only if the packet counter of the element is greater than the given value as well.
[!] -bytes-eq value
If the packet is matched an element in the set, match only if the byte counter of the element matches the given value too.
--bytes-lt value
If the packet is matched an element in the set, match only if the byte counter of the element is less than the given value as well.
--bytes-gt value
If the packet is matched an element in the set, match only if the byte counter of the element is greater than the given value as well.

The packet and byte counters related options and flags are ignored when the set was defined without counter support.

The option --match-set can be replaced by --set if that does not clash with an option of other extensions.

Use of -m set requires that ipset kernel support is provided, which, for standard kernels, is the case since Linux 2.6.39.

socket

This matches if an open TCP/UDP socket can be found by doing a socket lookup on the packet. It matches if there is an established or non-zero bound listening socket (possibly with a non-local address). The lookup is performed using the packet tuple of TCP/UDP packets, or the original TCP/UDP header embedded in an ICMP/ICPMv6 error packet.
--transparent
非透過 (non-transparent) ソケットを無視する。
--nowildcard
Do not ignore sockets bound to 'any' address. The socket match won't accept zero-bound listeners by default, since then local services could intercept traffic that would otherwise be forwarded. This option therefore has security implications when used to match traffic being forwarded to redirect such packets to local machine with policy routing. When using the socket match to implement fully transparent proxies bound to non-local addresses it is recommended to use the --transparent option instead.

Example (assuming packets with mark 1 are delivered locally):

-t mangle -A PREROUTING -m socket --transparent -j MARK --set-mark 1

state

"state" 拡張は "conntrack" モジュールのサブセットである。 "state" を使うと、 パケットについてのコネクション追跡状態を参照できる。
[!] --state state
state はマッチするコネクション状態のカンマ区切りのリストである。 "conntrack" が理解できる状態の一部だけが指定できる。 指定できるのは INVALID, ESTABLISHED, NEW, RELATED, UNTRACKED である。 これらの説明はこのマニュアルページの "conntrack" の説明を参照のこと。

statistic

このモジュールは統計的な条件に基づいたパケットのマッチングを行う。 二つのモードがサポートされており、 --mode オプションで設定できる。

サポートされているオプション:

--mode mode
マッチングルールのマッチングモードを設定する。 サポートされているモードは randomnth である。
[!] --probability p
ランダムにパケットがマッチする確率を設定する。 random モードでのみ機能する。 p は 0.0 と 1.0 の範囲でなければならない。 サポートされている粒度は 1/2147483648 である。
[!] --every n
n パケットに 1 つマッチする。 nth モードでのみ機能する (--packet オプションも参照)。
--packet p
nth モードでカウンターの初期値を設定する (0 <= p <= n-1, デフォルトは 0)。

string

このモジュールは、いくつかのパターンマッチ手法を用いて指定された文字列とのマッチを行う。 Linux カーネル 2.6.14 以上が必要である。
--algo {bm|kmp}
パターンマッチング手法を選択する (bm = Boyer-Moore, kmp = Knuth-Pratt-Morris)
--from offset
マッチングの検索を開始するオフセットを設定する。 指定されなかった場合のデフォルトは 0 である。
--to offset
検索を終了するオフセットを設定する。 バイト offset-1 (バイト番号は 0 から開始) が検索範囲の最終バイトとなる。 指定されなかった場合、デフォルトはパケットサイズである。
[!] --string pattern
指定されたパターンにマッチする。
[!] --hex-string pattern
指定された 16 進表記のパターンにマッチする。
例:
# 文字列パターンは単純なテキスト文字を探すのに使用できる。
iptables -A INPUT -p tcp --dport 80 -m string --algo bm --string 'GET /index.html' -j LOG
16 進数文字列のパターンは表示可能文字以外を検索するのに使用できる。 |0D 0A| や |0D0A| など。
iptables -p udp --dport 53 -m string --algo bm --from 40 --to 57 --hex-string '|03|www|09|netfilter|03|org|00|'

tcp

これらの拡張は `--protocol tcp' が指定され場合に使用できる。 以下のオプションが提供される:
[!] --source-port,--sport port[:port]
送信元ポートまたはポート範囲の指定。 サービス名またはポート番号を指定できる。 first:last という形式で、 2 つの番号を含む範囲を指定することもできる。 最初のポートを省略した場合、 "0" を仮定する。 最後のポートを省略した場合、 "65535" を仮定する。 最初のポートが最後のポートより大きい場合、 2 つは入れ換えられる。 フラグ --sport は、 このオプションの便利な別名である。
[!] --destination-port,--dport port[:port]
宛先ポートまたはポート範囲の指定。 フラグ --dport は、 このオプションの便利な別名である。
[!] --tcp-flags mask comp
TCP フラグが指定されたものと等しい場合にマッチする。 第 1 引き数 mask は評価対象とするフラグで、 コンマ区切りのリストである。 第 2 引き数 comp は必ず設定しなければならないフラグで、 コンマ区切りのリストである。 指定できるフラグは SYN ACK FIN RST URG PSH ALL NONE である。 よって、 コマンド
 iptables -A FORWARD -p tcp --tcp-flags SYN,ACK,FIN,RST SYN
    
は、 SYN フラグが設定され ACK, FIN, RST フラグが設定されていない パケットにのみマッチする。
[!] --syn
SYN ビットが設定され ACK, RST, FIN ビットがクリアされている TCP パケットにのみマッチする。 このようなパケットは TCP コネクションの開始要求に使われる。 例えば、 あるインターフェースに入ってくるこのようなパケットをブロックすれば、 内側への TCP コネクションは禁止されるが、 外側への TCP コネクションには影響しない。 これは --tcp-flags SYN,RST,ACK,FIN SYN と等しい。 "--syn" の前に "!" フラグ を置くと、 SYN ビットがクリアされ ACK と RST ビットが設定されている TCP パケットにのみマッチする。
[!] --tcp-option number
TCP オプションが設定されている場合にマッチする。

tcpmss

TCP ヘッダーの TCP MSS (maximum segment size) フィールドにマッチする。 TCP の SYN パケットか SYN/ACK パケットに対してのみ利用できる。 MSS のネゴシエーションはコネクション開始時の TCP ハンドシェイク中だけだからである。
[!] --mss value[:value]
指定された TCP MSS 値か範囲にマッチする。

time

このモジュールはパケットの到着時刻/日付が指定された範囲内の場合にマッチする。 すべてのオプションが任意オプションで、 複数指定した場合は AND と解釈される。 デフォルトではすべての時刻は UTC と解釈される。
--datestart YYYY[-MM[-DD[Thh[:mm[:ss]]]]]
--datestop YYYY[-MM[-DD[Thh[:mm[:ss]]]]]
指定された時刻 (日付も含む) の範囲にある場合にマッチする。 時刻は ISO 8601 "T" 表記でなければならない。 指定可能な範囲は 1970-01-01T00:00:00 から 2038-01-19T04:17:07 である。
--datestart と --datestop は、指定されなかった場合、それぞれ 1970-01-01 と 2038-01-19 とみなされます。
--timestart hh:mm[:ss]
--timestop hh:mm[:ss]
指定された時刻 (日付は含まない) の範囲にある場合にマッチする。 指定可能な範囲は 00:00:00 から 23:59:59 である。 ("06:03" のように) 先頭に 0 を付けてもよい。 この場合も 10 進数として正しく解釈される。
[!] --monthdays day[,day...]
指定された月の日付にマッチする。 指定可能な値は 1 から 31 である。 もちろん 31 を指定した場合 31 日がない月ではマッチしない。 同じことが 2 月 29 日についても言える。
[!] --weekdays day[,day...]
指定した曜日にマッチする。 指定可能な値は Mon, Tue, Wed, Thu, Fri, Sat, Sun および 1 から 7 の値である。 また、2 文字の曜日指定 (Mo, Tu など) も使用できる。
--contiguous
--timestop--timestart よりも小さい場合、複数の期間ではなく、一つの時間帯としてマッチするようにする。 例を参照。
--kerneltz
パケットが時刻指定にマッチするかを判定する際に UTC ではなくカーネルタイムゾーンを使用する。

About kernel timezones: Linux keeps the system time in UTC, and always does so. On boot, system time is initialized from a referential time source. Where this time source has no timezone information, such as the x86 CMOS RTC, UTC will be assumed. If the time source is however not in UTC, userspace should provide the correct system time and timezone to the kernel once it has the information.

Local time is a feature on top of the (timezone independent) system time. Each process has its own idea of local time, specified via the TZ environment variable. The kernel also has its own timezone offset variable. The TZ userspace environment variable specifies how the UTC-based system time is displayed, e.g. when you run date(1), or what you see on your desktop clock. The TZ string may resolve to different offsets at different dates, which is what enables the automatic time-jumping in userspace. when DST changes. The kernel's timezone offset variable is used when it has to convert between non-UTC sources, such as FAT filesystems, to UTC (since the latter is what the rest of the system uses).

The caveat with the kernel timezone is that Linux distributions may ignore to set the kernel timezone, and instead only set the system time. Even if a particular distribution does set the timezone at boot, it is usually does not keep the kernel timezone offset - which is what changes on DST - up to date. ntpd will not touch the kernel timezone, so running it will not resolve the issue. As such, one may encounter a timezone that is always +0000, or one that is wrong half of the time of the year. As such, using --kerneltz is highly discouraged.

例をいくつか。 週末にマッチさせる場合:

-m time --weekdays Sa,Su

国の祝日に (一度だけ) マッチさせる場合:

-m time --datestart 2007-12-24 --datestop 2007-12-27

終了時刻も実際には含まれるので、新年の最初の 1 秒にマッチしないように終了時刻を以下のように指定する必要がある:

-m time --datestart 2007-01-01T17:00 --datestop 2007-01-01T23:59:59

昼御飯の時間帯:

-m time --timestart 12:30 --timestop 13:30

第 4 金曜日:

-m time --weekdays Fr --monthdays 22,23,24,25,26,27,28

(これは数学的な性質を利用している点に留意すること。 一つのルールで「第 4 木曜日 または 第 4 金曜日」と指定することはできない。 複数ルールで指定することはできるが。)

日をまたぐマッチングは期待するようには動かないだろう。例えば、

-m time --weekdays Mo --timestart 23:00 --timestop 01:00 は、月曜日の 0 時から午前 1 時の 1 時間にマッチし、 その後さらに 23 時からの 1 時間にもマッチする。 これが希望通りでない場合、例えば、月曜日 23 時から 2 時間にマッチさせたい場合は、 上記に追加で --contiguous オプションも指定する必要がある。

tos

このモジュールは IPv4 ヘッダーの 8 ビットの Type of Service フィールド (すなわち上位ビットを含まれる) もしくは IPv6 ヘッダーの (8 ビットの) Priority フィールドにマッチする。
[!] --tos value[/mask]
指定された TOS マーク値を持つパケットにマッチする。 mask が指定されると、 比較の前に TOS マーク値との論理積 (AND) がとられる)。
[!] --tos symbol
IPv4 の tos フィールドに対するマッチを指定する際にシンボル名を使うことができる。 iptables を -m tos -h で呼び出すと、利用可能な TOS 名の一覧を得ることができる。 シンボル名を使った場合、 mask として 0x3F が使用される (0x3F は ECN ビット以外の全ビットである)。

ttl (IPv4 の場合)

このモジュールは IP ヘッダーの time to live フィールドにマッチする。
[!] --ttl-eq ttl
指定された TTL 値にマッチする。
--ttl-gt ttl
TTL が指定された TTL 値より大きければマッチする。
--ttl-lt ttl
TTL が指定された TTL 値より小さければマッチする。

u32

U32 は、パケットから最大 4 バイトの数値を取り出して、指定した値を持つかの検査を行う。 どこを取り出すかの指定は汎用的になっており、TCP ヘッダーやペイロードから指定したオフセットのデータを取り出すことができる。
[!] --u32 tests
引き数は、以下で説明する小さな言語のプログラムになる。
tests := location "=" value | tests "&&" location "=" value
value := range | value "," range
range := number | number ":" number

数字 1 個 nn:n と同じものと解釈される。 n:m>=n かつ <=m の範囲の数字と解釈される。

location := number | location operator number
operator := "&" | "<<" | ">>" | "@"

オペレーター &, <<, >>, && は C と同じ意味である。 = は集合の所属を検査するオペレーターで、値は集合として記述する。 @ オペレーターは、次のヘッダーへの移動に使うオペレーターで、後で詳しく説明する。

現在のところ、テストの大きさにはいくつか実装から来る制約がある。

*
u32 引き数あたりの "=" は最大 10 個まで ("&&" は 9 個まで)
*
value あたりの range は 10 個まで (カンマは 9 個まで)
*
一つの location あたりの number は最大 10 個まで (operator は 9 個まで)

location の意味を説明するために、 location を解釈する以下のようなマシンを考えてみる。 3 つのレジスターがある。

A は char * 型で、最初は IP ヘッダーのアドレスが入っている。
B と C は 32 ビット整数で、最初は 0 である。

命令は以下の通り。

number B = number;
C = (*(A+B)<<24) + (*(A+B+1)<<16) + (*(A+B+2)<<8) + *(A+B+3)
&number C = C & number
<< number C = C << number
>> number C = C >> number
@number A = A + C; この後、命令の数字を実行する

[skb->data,skb->end] 以外へのメモリアクセスはすべてマッチ失敗となる。 それ以外の場合、計算の結果が C の最終的な値となる。

ホワイトスペースを入れることはできるが、テストでは必須ではない。 しただし、テストに含まれる文字はシェルでのクォートが必要な場合もよくあるので、 引き数全体をクォートで囲んでおくとよいだろう。

例:

トータル長が 256 以上の IP パケットにマッチする
IP ヘッダーではバイト 2-3 にトータル長フィールドがある。
--u32 "0 & 0xFFFF = 0x100:0xFFFF"
バイト 0-3 を読み出し、
0xFFFF (バイト 2-3 に対応) の論理積 (AND) を取り、 その値が範囲 [0x100:0xFFFF] にあるか検査する。

例: (もっと実用的な、したがってもっと複雑な例)

ICMP タイプが 0 の ICMP パケットにマッチする
まず ICMP パケットかどうか検査する。 バイト 9 (プロトコル) = 1 であれば真。
--u32 "6 & 0xFF = 1 && ...
バイト 6-9 を読み出し、 & を使ってバイト 6-8 を取り除き、 得られた値を 1 と比較する。 次に、フラグメントではないことを検査する (フラグメントの場合、パケットは ICMP パケットの一部かもしれないが、 常にそうだとは言えない)。 注意: 一般的に IP ヘッダーより先にあるものとマッチを行う場合にはこの検査は必要である。 このパケットが (フラグメントではない) 完全なパケットであれば、バイト 6 の最後の 6 ビットとバイト 7 の全ビットが 0 である。 代わりに、 バイト 6 の最後の 5 ビットを検査するだけで最初のフラグメントを許可することができる。
... 4 & 0x3FFF = 0 && ...
最後の検査として、 IP ヘッダー直後のバイト (ICMP タイプ) が 0 かを確認する。 ここで @ 記法を使う必要がある。 IP ヘッダーの長さ (IHL) は IP ヘッダー自身のバイト 0 の右半分に 32 ビットワードで格納されている。
... 0 >> 22 & 0x3C @ 0 >> 24 = 0"
最初の 0 はバイト 0-3 を読み出し、 >>22 はその値を 22 ビット右にシフトすることを意味する。 24 ビットシフトすると最初のバイトが得られるので、 22 ビットだけシフトすると (少し余計なビットが付いているが) その 4 倍の値が得られる。 &3C で右側の余計な 2 ビットと最初のバイトの先頭 4 ビットを取り除く。 例えば、 IHL が 5 の場合 IP ヘッダーは 20 バイト (4 x 5) である。 この場合、バイト 0-1 は (バイナリで) xxxx0101 yyzzzzzz であり、 >>22 により 10 ビットの値 xxxx0101yy が得られ、 &3C で 010100 が得られる。 @ は、この数字をパケットの新しいオフセットとして使用し、 この地点から始まる 4 バイトを読み出すことを意味する。 この 4 バイトは ICMP ペイロードの最初の 4 バイトであり、 バイト 0 が ICMP タイプである。 したがって、この値を 24 ビット右にシフトして、最初のバイト以外をすべて取り除き、 その結果を 0 と比較するだけでよい。

例:

TCP ペイロードのバイト 8-12 が 1, 2, 5, 8 のいずれかかを検査する
まず、パケットが TCP パケットであるかを検査する (ICMP と同様)。
--u32 "6 & 0xFF = 6 && ...
次に、フラグメントでないことを検査する (上記と同じ)。
... 0 >> 22 & 0x3C @ 12 >> 26 & 0x3C @ 8 = 1,2,5,8"
上で説明した通り 0>>22&3C で IP ヘッダーのバイト数を計算する。 @ でこの値をパケットの新しいオフセットとし、これは TCP ヘッダーの先頭である。 TCP ヘッダー長 (これも 32 ビットワード) は TCP ヘッダーのバイト 12 の左半分にある。 12>>26&3C で TCP ヘッダーのバイト数を計算する (IP ヘッダーの場合と同様)。 "@" を使ってこれを新しいオフセットに設定する。この時点で TCP ペイロードの先頭を指している。 最後に、8 でペイロードのバイト 8-12 を読み出し、 = を使って取り出した値が 1, 2, 5, 8 のいずれかであるかチェックする。

udp

これらの拡張は `--protocol udp' が指定された場合に利用できる。 以下のオプションが提供される。
[!] --source-port,--sport port[:port]
送信元ポートまたはポート範囲の指定。 詳細は TCP 拡張の --source-port オプションの説明を参照すること。
[!] --destination-port,--dport port[:port]
宛先ポートまたはポート範囲の指定。 詳細は TCP 拡張の --destination-port オプションの説明を参照すること。

unclean (IPv4 の場合)

このモジュールにはオプションがないが、 おかしく正常でないように見えるパケットにマッチする。 これは実験的なものとして扱われている。

ターゲットの拡張

iptables は拡張ターゲットモジュールを使うことができる: 以下のものが、 標準的なディストリビューションに含まれている。

AUDIT

このターゲットを使うと、このターゲットにヒットしたパケットに対する監査 (audit) レコードを作成することができる。 許可/廃棄/拒否されたパケットを記録するのに使用できる。 詳細については auditd(8) を参照。
--type {accept|drop|reject}
監査レコード種別を設定する。

例:

iptables -N AUDIT_DROP
iptables -A AUDIT_DROP -j AUDIT --type drop
iptables -A AUDIT_DROP -j DROP

CHECKSUM

このターゲットは、 おかしいアプリケーションや古いアプリケーションに対する選択的な対処を可能にする。 mangle テーブルでのみ使用できる。
--checksum-fill
Compute and fill in the checksum in a packet that lacks a checksum. This is particularly useful, if you need to work around old applications such as dhcp clients, that do not work well with checksum offloads, but don't want to disable checksum offload in your device.

CLASSIFY

このモジュールを使うと skb->priority の値を設定できる (その結果、そのパケットを特定の CBQ クラスに分類できる)。
--set-class major:minor
メジャークラスとマイナークラスの値を設定する。値は常に 16 進数として解釈される。 0x が前に付いていない場合であっても 16 進数と解釈される。

CLUSTERIP (IPv4 の場合)

このモジュールを使うと、 ノードの前段に明示的に負荷分散装置を置かずに、 特定の IP アドレスと MAC アドレスを共有するノードの簡単なクラスターを構成することができる。 コネクションは、このクラスターのノード間で静的に分散される。
--new
新しい ClusterIP を作成する。 このオプションは、ここで指定する ClusterIP を使うルールの中で一番最初に設定しなければならない。
--hashmode mode
ハッシュモードを指定する。 sourceip, sourceip-sourceport, sourceip-sourceport-destport のいずれかでなければならない。
--clustermac mac
ClusterIP の MAC アドレスを指定する。 リンク層のマルチキャストアドレスでなければならない。
--total-nodes num
このクラスターの総ノード数。
--local-node num
このクラスターのローカルノード番号。
--hash-init rnd
ハッシュの初期化に使用される乱数シード値を指定する。

CONNMARK

このモジュールは、 コネクションに関連付けられた netfilter の mark 値を設定する。 mark は 32 ビット幅である。
--set-xmark value[/mask]
mask で指定されたビットを 0 にし、 value と ctmark の XOR を取る。
--save-mark [--nfmask nfmask] [--ctmask ctmask]
指定されたマスクを使って、 パケットマーク (nfmark) をコネクションマーク (ctmark) にコピーする。 新しい ctmark 値は以下のように決定される。
ctmark = (ctmark & ~ctmask) ^ (nfmark & nfmask)
ctmask はどのビットをクリアするかを規定し、 nfmask は nfmark のどのビットを ctmark と XOR するかを規定する。 ctmasknfmask のデフォルト値は 0xFFFFFFFF である。
--restore-mark [--nfmask nfmask] [--ctmask ctmask]
指定されたマスクを使って、 コネクションマーク (ctmark) をパケットマーク (nfmark) にコピーする。 新しい nfmark 値は以下のように決定される。
nfmark = (nfmark & ~nfmask) ^ (ctmark & ctmask);
nfmask はどのビットをクリアするかを規定し、 ctmask は ctmark のどのビットを nfmark と XOR するかを規定する。 ctmasknfmask のデフォルト値は 0xFFFFFFFF である。
--restore-markmangle テーブルでのみ有効である。

以下の簡易表現が --set-xmark の代わりに利用できる。

--and-mark bits
ctmark と bits のビット論理積 (AND) を取る (--set-xmark 0/invbits の簡易表現、 invbitsbits のビット単位の否定である)。
--or-mark bits
ctmark と bits のビット論理和 (OR) を取る (--set-xmark bits/bits の簡易表現)。
--xor-mark bits
ctmark と bits のビット XOR を取る (--set-xmark bits/0 の簡易表現)。
--set-mark value[/mask]
コネクションマークを設定する。 mask が指定された場合、 mask で指定されたビットだけが変更される。
--save-mark [--mask mask]
nfmark を ctmark へコピーする。 mask が指定された場合、そのビットだけがコピーされる。
--restore-mark [--mask mask]
ctmark を nfmark にコピーする。 mask が指定されると、 指定されたビットだけがコピーされる。 mangle テーブルのみで有効である。

CONNSECMARK

This module copies security markings from packets to connections (if unlabeled), and from connections back to packets (also only if unlabeled). Typically used in conjunction with SECMARK, it is valid in the security table (for backwards compatibility with older kernels, it is also valid in the mangle table).
--save
If the packet has a security marking, copy it to the connection if the connection is not marked.
--restore
If the packet does not have a security marking, and the connection does, copy the security marking from the connection to the packet.

CT

The CT target allows to set parameters for a packet or its associated connection. The target attaches a "template" connection tracking entry to the packet, which is then used by the conntrack core when initializing a new ct entry. This target is thus only valid in the "raw" table.
--notrack
このパケットに対するコネクション追跡を無効にする。
--helper name
name で指定されるヘルパーをこのコネクションで使用する。 この方法は、あらかじめ設定したポートに対して conntrack ヘルパーモジュールをロードするよりも柔軟性がある。
--ctevents event[,...]
Only generate the specified conntrack events for this connection. Possible event types are: new, related, destroy, reply, assured, protoinfo, helper, mark (this refers to the ctmark, not nfmark), natseqinfo, secmark (ctsecmark).
--expevents event[,...]
Only generate the specified expectation events for this connection. Possible event types are: new.
--zone id
Assign this packet to zone id and only have lookups done in that zone. By default, packets have zone 0.
--timeout name
Use the timeout policy identified by name for the connection. This is provides more flexible timeout policy definition than global timeout values available at /proc/sys/net/netfilter/nf_conntrack_*_timeout_*.

DNAT

このターゲットは nat テーブルの PREROUTING, OUTPUT チェイン、 これらのチェインから呼び出される ユーザー定義チェインのみで有効である。 このターゲットはパケットの宛先アドレスを修正する (このコネクションの以降のパケットも修正して分からなく (mangle) する)。 さらに、 ルールによるチェックを止めさせる。 このターゲットは以下のオプションを取る。
--to-destination [ipaddr[-ipaddr]][:port[-port]]
1 つの新しい宛先 IP アドレス、 または IP アドレスの範囲が指定できる。 また、ルールでプロトコルとして tcp, udp, dccp, sctp のいずれが指定されている場合は、ポートの範囲を指定することもできる。 ポートの範囲が指定されていない場合、 宛先ポートは変更されない。 IP アドレスが指定されなかった場合は、 宛先ポートだけが変更される。 2.6.10 以前のカーネルでは、 複数の --to-destination オプションを指定することができる。 これらのカーネルでは、 アドレスの範囲指定や --to-destination オプションの複数回指定により 2 つ以上の宛先アドレスを指定した場合、 それらのアドレスを使った単純なラウンドロビンによる負荷分散が行われる。 それ以降のカーネル (>= 2.6.11-rc1) には複数の範囲を NAT する機能は存在しない。
--random
--random オプションを使用すると、 ポートマッピングがランダム化される (カーネル 2.6.22 以降)。
--persistent
クライアントの各コネクションに同じ送信元アドレス/宛先アドレスを割り当てる。 これは SAME ターゲットよりも優先される。 persistent マッピングのサポートは 2.6.29-rc2 以降で利用可能である。
IPv6 サポートは Linux カーネル 3.7 以降で利用可能である。

DNPT (IPv6 のみ)

(RFC 6296 で説明されている) ステートレス IPv6-to-IPv6 宛先ネットワークプレフィックス変換を提供する。

このターゲットは nat テーブルではなく mangle テーブルで使わなければならない。 以下のオプションを取る。

--src-pfx [prefix/length]
変換を行う送信元プレフィックスとその長さを設定する。
--dst-pfx [prefix/length]
変換を行う宛先プレフィックスとその長さを設定する。

変換を取り消すには SNPT ターゲットを使わなければならない。 例:

ip6tables -t mangle -I POSTROUTING -s fd00::/64 -o vboxnet0 -j SNPT --src-pfx fd00::/64 --dst-pfx 2001:e20:2000:40f::/64
ip6tables -t mangle -I PREROUTING -i wlan0 -d 2001:e20:2000:40f::/64 -j DNPT --src-pfx 2001:e20:2000:40f::/64 --dst-pfx fd00::/64

IPv6 neighbor proxy を有効にする必要があるかもしれない。

sysctl -w net.ipv6.conf.all.proxy_ndp=1

また、変換されたフローに対するコネクション追跡を無効にするには NOTRACK ターゲットを使用する必要がある。

DSCP

このターゲットは、 IPv4 パケットの TOS ヘッダーにある DSCP ビットの値の書き換えを可能にする。 これはパケットを操作するので、 mangle テーブルでのみ使用できる。
--set-dscp value
DSCP フィールドの数値を設定する (10 進または 16 進)。
--set-dscp-class class
DSCP フィールドの DiffServ クラスを設定する。

ECN (IPv4 の場合)

このターゲットは ECN ブラックホール問題への対処を可能にする。 mangle テーブルでのみ使用できる。
--ecn-tcp-remove
TCP ヘッダーから全ての ECN ビット (訳注: ECE/CWR フラグ) を取り除く。 当然、 -p tcp オプションとの組合わせでのみ使用できる。

HL (IPv6 のみ)

このターゲットを使うと IPv6 ヘッダーの Hop Limit フィールドを変更することができる。 Hop Limit フィールドは IPv4 の TTL 値と同じようなものである。 Hop Limit フィールドを設定したり増やすのは、 危険性を非常にはらんでいる。 したがって、可能な限り避けるべきである。 このターゲットは mangle テーブルでのみ有効である。

決してローカルネットワーク内に留まるパケットのフィールド値を設定したり増やしたりしないこと!

--hl-set value
Hop Limit を `value' に設定する。
--hl-dec value
Hop Limit を `value' 回減算する。
--hl-inc value
Hop Limit を `value' 回加算する。

HMARK

Like MARK, i.e. set the fwmark, but the mark is calculated from hashing packet selector at choice. You have also to specify the mark range and, optionally, the offset to start from. ICMP error messages are inspected and used to calculate the hashing.

Existing options are:

--hmark-tuple tuple
Possible tuple members are: src meaning source address (IPv4, IPv6 address), dst meaning destination address (IPv4, IPv6 address), sport meaning source port (TCP, UDP, UDPlite, SCTP, DCCP), dport meaning destination port (TCP, UDP, UDPlite, SCTP, DCCP), spi meaning Security Parameter Index (AH, ESP), and ct meaning the usage of the conntrack tuple instead of the packet selectors.
--hmark-mod value (must be > 0)
Modulus for hash calculation (to limit the range of possible marks)
--hmark-offset value
Offset to start marks from.
For advanced usage, instead of using --hmark-tuple, you can specify custom
prefixes and masks:
--hmark-src-prefix cidr
The source address mask in CIDR notation.
--hmark-dst-prefix cidr
The destination address mask in CIDR notation.
--hmark-sport-mask value
A 16 bit source port mask in hexadecimal.
--hmark-dport-mask value
A 16 bit destination port mask in hexadecimal.
--hmark-spi-mask value
A 32 bit field with spi mask.
--hmark-proto-mask value
An 8 bit field with layer 4 protocol number.
--hmark-rnd value
A 32 bit random custom value to feed hash calculation.

:

iptables -t mangle -A PREROUTING -m conntrack --ctstate NEW -j HMARK --hmark-tuple ct,src,dst,proto --hmark-offset 10000 --hmark-mod 10 --hmark-rnd 0xfeedcafe

iptables -t mangle -A PREROUTING -j HMARK --hmark-offset 10000 --hmark-tuple src,dst,proto --hmark-mod 10 --hmark-rnd 0xdeafbeef

IDLETIMER

This target can be used to identify when interfaces have been idle for a certain period of time. Timers are identified by labels and are created when a rule is set with a new label. The rules also take a timeout value (in seconds) as an option. If more than one rule uses the same timer label, the timer will be restarted whenever any of the rules get a hit. One entry for each timer is created in sysfs. This attribute contains the timer remaining for the timer to expire. The attributes are located under the xt_idletimer class:

/sys/class/xt_idletimer/timers/<label>

When the timer expires, the target module sends a sysfs notification to the userspace, which can then decide what to do (eg. disconnect to save power).

--timeout amount
This is the time in seconds that will trigger the notification.
--label string
This is a unique identifier for the timer. The maximum length for the label string is 27 characters.

LED

This creates an LED-trigger that can then be attached to system indicator lights, to blink or illuminate them when certain packets pass through the system. One example might be to light up an LED for a few minutes every time an SSH connection is made to the local machine. The following options control the trigger behavior:
--led-trigger-id name
This is the name given to the LED trigger. The actual name of the trigger will be prefixed with "netfilter-".
--led-delay ms
This indicates how long (in milliseconds) the LED should be left illuminated when a packet arrives before being switched off again. The default is 0 (blink as fast as possible.) The special value inf can be given to leave the LED on permanently once activated. (In this case the trigger will need to be manually detached and reattached to the LED device to switch it off again.)
--led-always-blink
Always make the LED blink on packet arrival, even if the LED is already on. This allows notification of new packets even with long delay values (which otherwise would result in a silent prolonging of the delay time.)
例:
Create an LED trigger for incoming SSH traffic:
iptables -A INPUT -p tcp --dport 22 -j LED --led-trigger-id ssh
Then attach the new trigger to an LED:
echo netfilter-ssh >/sys/class/leds/ledname/trigger

LOG

マッチしたパケットをカーネルログに記録する。 このオプションがルールに対して設定されると、 Linux カーネルはマッチしたパケットについての何らかの情報 (多くの IP/IPv6 ヘッダーフィールドなど) を カーネルログに表示する (カーネルログは dmesg(1) や syslog で参照できる)。

これは "非終了ターゲット" である。 すなわち、 ルールの探索は次のルールへと継続される。 よって、 拒否するパケットをログ記録したければ、 同じマッチング判断基準を持つ 2 つのルールを使用し、 最初のルールで LOG ターゲットを、 次のルールで DROP (または REJECT) ターゲットを指定する。

--log-level level
ロギングレベル。 (システム固有の) 数値かシンボル名を指定する。 指定できる値は (優先度が高い順に) emerg, alert, crit, error, warning, notice, info, debug である。
--log-prefix prefix
指定したプレフィックスをログメッセージの前に付ける。 プレフィックスは 29 文字までの長さで、 ログの中でメッセージを区別するのに役立つ。
--log-tcp-sequence
TCP シーケンス番号をログに記録する。 ログがユーザーから読める場合、 セキュリティ上の危険がある。
--log-tcp-options
TCP パケットヘッダーのオプションをログに記録する。
--log-ip-options
IP/IPv6 パケットヘッダーのオプションをログに記録する。
--log-uid
パケットを生成したプロセスのユーザー ID をログに記録する。

MARK

このターゲットを使うと、 そのパケットに関連付けられる Netfilter マーク値を設定する。 例えば、 fwmark に基づくルーティング (iproute2 が必要) と組み合わせて使うことができる。 そうする場合には、 ルーティング時に考慮されるようにするには、 mangle テーブルの PREROUTING チェインでマークを設定する必要がある。 マークフィールドは 32 ビット幅である。
--set-xmark value[/mask]
mask で指定されたビットを 0 にし、 value と packet mark ("nfmark") の XOR を取る。 mask が省略された場合は 0xFFFFFFFF とみなされる。
--set-mark value[/mask]
mask で指定されたビットを 0 にし、 value と packet mark の OR を取る。 mask が省略された場合は 0xFFFFFFFF とみなされる。

以下の簡易表現が利用できる。

--and-mark bits
nfmark と bits のビット論理積 (AND) を取る (--set-xmark 0/invbits の簡易表現、 invbitsbits のビット単位の否定である)。
--or-mark bits
nfmark と bits のビット論理和 (OR) を取る (--set-xmark bits/bits の簡易表現)。
--xor-mark bits
nfmark と bits のビット XOR を取る (--set-xmark bits/0 の簡易表現)。

MASQUERADE

このターゲットは nat テーブルの POSTROUTING チェインのみで有効である。 動的割り当て IP (ダイヤルアップ) コネクションの場合にのみ使うべきである。 固定 IP アドレスならば、 SNAT ターゲットを使うべきである。 マスカレーディングは、 パケットが送信されるインターフェースの IP アドレスへのマッピングを指定するのと同じであるが、 インターフェースが停止した場合にコネクションを忘れるという効果がある。 次のダイヤルアップでは同じインターフェースアドレスになる可能性が低い (そのため、 前回確立されたコネクションは失われる) 場合、 この動作は正しい。
--to-ports port[-port]
このオプションは、 使用する送信元ポートの範囲を指定し、 デフォルトの SNAT 送信元ポートの選択方法 (上記) よりも優先される。 ルールがプロトコルとして tcp, udp, dccp, sctp を指定している場合にのみ有効である。
--random
送信元ポートのマッピングをランダム化する。 --random オプションを使用すると、 ポートマッピングがランダム化される (カーネル 2.6.21 以降)。
IPv6 サポートは Linux カーネル 3.7 以降で利用可能である。

MIRROR (IPv4 の場合)

実験的なデモンストレーション用のターゲットであり、 IP ヘッダーの送信元と宛先フィールドを入れ換え、 パケットを再送信するものである。 これは INPUT, FORWARD, PREROUTING チェインと、 これらのチェインから呼び出される ユーザー定義チェインだけで有効である。 ループ等の問題を回避するため、 外部に送られるパケットは いかなるパケットフィルタリングチェイン・コネクション追跡・NAT からも 監視されない

NETMAP

このターゲットを使うと、あるアドレスネットワーク全体を別のネットワークアドレスに静的にマッピングできる。 このターゲットは nat テーブルでルールでのみ使用できる。
--to address[/mask]
マッピング先のネットワークアドレス。 変換後のアドレスは以下のようにして構築される。 mask で '1' になっているビットは新しいアドレスが使われ、 mask で '0' になっているビットは元のアドレスが使われる。
IPv6 サポートは Linux カーネル 3.7 以降で利用可能である。

NFLOG

このターゲットは、 マッチしたパケットをログに記録する機能を提供する。 このターゲットがルールに設定されると、 Linux カーネルはそのログに記録するためにそのパケットをロードされたロギングバックエンドに渡す。 このターゲットは通常は nfnetlink_log をロギングバックエンドとして使う組み合わせで使用される。 nfnetlink_log はそのパケットを netlink ソケット経由で指定されたマルチキャストグループにマルチキャストする。 1 つ以上のユーザー空間プロセスがマルチキャストグループを購読しパケットを受信することができる。 LOG と同様に、 このターゲットは非終了ターゲットであり、 ルールの探索は次のルールへと継続される。
--nflog-group nlgroup
パケットを送信する netlink グループ (0 - 2^16-1) を指定する (nfnetlink_log の場合のみ利用できる)。 デフォルトの値は 0 である。
--nflog-prefix prefix
ログメッセージの前に付けるプレフィックス文字列。 最大 64 文字までの指定できる。 ログの中でメッセージを区別するのに役に立つ。
--nflog-range size
ユーザー空間にコピーするバイト数 (nfnetlink_log の場合のみ利用できる)。 nfnetlink_log のインスタンスは自身でコピーする範囲を指定できるが、 このオプションはそれを上書きする。
--nflog-threshold size
ユーザー空間にパケットを送信する前に、カーネル内部のキューに入れるパケット数 (nfnetlink_log の場合のみ利用できる)。 大きめの値を指定するほどパケット単位のオーバヘッドは少なくなるが、 パケットがユーザー空間に届くまでの遅延が大きくなる。 デフォルト値は 1 である。

NFQUEUE

このターゲットは、 nfnetlink_queue ハンドラーを使ってそのパケットをユーザー空間に渡す。 パケットは 16 ビットのキュー番号で指定されたキューに入れられる。 ユーザー空間では好きなようにパケットを検査し変更できる。 ユーザー空間側では、必ずそのパケットを破棄するかカーネルに戻すかのどちらかをしなければならない。 詳細は libnetfilter_queue を参照のこと。 nfnetlink_queue は Linux 2.6.14 で追加された。 queue-balance オプションは Linux 2.6.31 で、 queue-bypass は Linux 2.6.39 で追加された。
--queue-num value
使用する QUEUE 番号を指定する。 有効なキュー番号は 0 から 65535 である。 デフォルトは 0 である。
--queue-balance value:value
使用するキューの範囲を指定する。 パケットは指定された範囲のキューに分散される。 これはマルチコアシステムで有用である。 ユーザー空間プログラムの複数インスタンスをキュー x, x+1, .. x+n で開始し、 "--queue-balance x:x+n" を使用する。 同じコネクションに所属するパケットは同じ nfqueue に入れられる。
--queue-bypass
デフォルトでは、 どのユーザー空間プログラムも NFQUEUE をリッスンしていない場合、 キューされるはずのすべてのパケットが破棄される。 このオプションを使うと、 NFQUEUE ルールは ACCEPT のような動作となり、 パケットは次のテーブルに進む。
--queue-cpu-fanout
Linux カーネル 3.10 以降で利用可能。 --queue-balance とともに使用されると、このオプションはパケットをキューにマッピングする際のインデックスとして CPU ID を使用する。 これは、 CPU ごとにキューがある場合に性能を向上させようというものである。 このオプションを使うには --queue-balance を指定する必要がある。

NOTRACK

このターゲットを使うと、そのルールにマッチした全てのパケットでコネクション追跡が無効になる。 これは -j CT --notrack と等価である。 CT と同様、 NOTRACK は raw テーブルでのみ使用できる。

RATEEST

The RATEEST target collects statistics, performs rate estimation calculation and saves the results for later evaluation using the rateest match.
--rateest-name name
Count matched packets into the pool referred to by name, which is freely choosable.
--rateest-interval amount{s|ms|us}
Rate measurement interval, in seconds, milliseconds or microseconds.
--rateest-ewmalog value
Rate measurement averaging time constant.

REDIRECT

このターゲットは、 nat テーブルの PREROUTING チェインと OUTPUT チェイン、 およびこれらチェインから呼び出されるユーザー定義チェインでのみ有効である。 このターゲットは、 宛先 IP をパケットを受信したインタフェースの最初のアドレスに変更することで、 パケットをそのマシン自身にリダイレクトする (ローカルで生成されたパケットはローカルホストのアドレス、 IPv4 では 127.0.0.1、 IPv6 では ::1 にマップされる)。
--to-ports port[-port]
このオプションは使用される宛先ポート・ポート範囲・複数ポートを指定する。 このオプションが指定されない場合、 宛先ポートは変更されない。 ルールがプロトコルとして tcp, udp, dccp, sctp を指定している場合にのみ有効である。
--random
--random オプションを使用すると、 ポートマッピングがランダム化される (カーネル 2.6.22 以降)。
IPv6 サポートは Linux カーネル 3.7 以降で利用可能である。

REJECT (IPv6 のみ)

マッチしたパケットの応答としてエラーパケットを送信するために使われる。 エラーパケットを送らなければ、 DROP と同じであり、 TARGET を終了し、 ルールの探索を終了する。 このターゲットは、 INPUT, FORWARD, OUTPUT チェインと、 これらのチェインから呼ばれる ユーザー定義チェイン だけで有効である。 以下のオプションは、 返されるエラーパケットの特性を 制御する。
--reject-with type
指定できるタイプは icmp6-no-route, no-route, icmp6-adm-prohibited, adm-prohibited, icmp6-addr-unreachable, addr-unreach, icmp6-port-unreachable である。 指定したタイプの適切な IPv6 エラーメッセージが返される (icmp6-port-unreachable がデフォルトである)。 さらに、 TCP プロトコルにのみマッチするルールに対して、 オプション tcp-reset を使うことができる。 このオプションを使うと、 TCP RST パケットが送り返される。 主として ident (113/tcp) による探査を阻止するのに役立つ。 ident による探査は、 壊れている (メールを受け取らない) メールホストに メールが送られる場合に頻繁に起こる。 tcp-reset はバージョン 2.6.14 以降のカーネルでのみ使用できる。

REJECT (IPv4 の場合)

マッチしたパケットの応答としてエラーパケットを送信するために使われる。 エラーパケットを送らなければ、 DROP と同じであり、 TARGET を終了し、 ルールの探索を終了する。 このターゲットは、 INPUT, FORWARD, OUTPUT チェインと、 これらのチェインから呼ばれる ユーザー定義チェイン だけで有効である。 以下のオプションは、 返されるエラーパケットの特性を 制御する。
--reject-with type
指定できるタイプは icmp-net-unreachable, icmp-host-unreachable, icmp-port-unreachable, icmp-proto-unreachable, icmp-net-prohibited, icmp-host-prohibited, icmp-admin-prohibited (*) である。指定したタイプの適切な ICMP エラーメッセージを返す (icmp-port-unreachable がデフォルトである)。 TCP プロトコルにのみマッチするルールに対して、 オプション tcp-reset を使うことができる。 このオプションを使うと、 TCP RST パケットが送り返される。 主として ident (113/tcp) による探査を阻止するのに役立つ。 ident による探査は、 壊れている (メールを受け取らない) メールホストに メールが送られる場合に頻繁に起こる。

(*) icmp-admin-prohibited をサポートしないカーネルで、 icmp-admin-prohibited を使用すると、 REJECT ではなく単なる DROP になる。

SAME (IPv4 の場合)

Similar to SNAT/DNAT depending on chain: it takes a range of addresses (`--to 1.2.3.4-1.2.3.7') and gives a client the same source-/destination-address for each connection.

N.B.: The DNAT target's --persistent option replaced the SAME target.

--to ipaddr[-ipaddr]
Addresses to map source to. May be specified more than once for multiple ranges.
--nodst
Don't use the destination-ip in the calculations when selecting the new source-ip
--random
Port mapping will be forcibly randomized to avoid attacks based on port prediction (kernel >= 2.6.21).

SECMARK

This is used to set the security mark value associated with the packet for use by security subsystems such as SELinux. It is valid in the security table (for backwards compatibility with older kernels, it is also valid in the mangle table). The mark is 32 bits wide.
--selctx security_context

SET

このモジュールは ipsec(8) で定義できる IP 集合のエントリの追加、削除、その両方を行う。
--add-set setname flag[,flag...]
集合に指定されたアドレス/ポート (複数可) を追加する
--del-set setname flag[,flag...]
集合から指定されたアドレス/ポート (複数可) を削除する
flagsrcdst の指定であり、 指定できるのは 6 個までである。
--timeout value
エントリを追加する際に、 集合定義のデフォルト値ではなく指定したタイムアウト値を使用する
--exist
エントリを追加する際に、 エントリが存在する場合、 タイムアウト値を、 指定された値か集合定義のデフォルト値にリセットする

-j SET を使用するには ipset のカーネルサポートが必要である。 標準のカーネルでは、 Linux 2.6.39 以降で提供されている。

SNAT

このターゲットは nat テーブルの POSTROUTING, INPUT チェイン、 これらのチェインから呼び出される ユーザー定義チェインのみで有効である。 このターゲットはパケットの送信元アドレスを修正する (このコネクションの以降のパケットも修正して分からなく (mangle) する)。 さらに、 ルールによるチェックを止めさせる。 このターゲットには以下のオプションがある:
--to-source [ipaddr[-ipaddr]][:port[-port]]
1 つの新しい送信元 IP アドレス、 または IP アドレスの範囲が指定できる。 ルールでプロトコルとして tcp, udp, dccp, sctp が指定されている場合、 ポートの範囲を指定することもできる。 ポートの範囲が指定されていない場合、 512 未満の送信元ポートは、 他の 512 未満のポートにマッピングされる。 512 〜 1023 までのポートは、 1024 未満のポートにマッピングされる。 それ以外のポートは、 1024 以上のポートにマッピングされる。 可能であれば、 ポートの変換は起こらない。 2.6.10 以前のカーネルでは、 複数の --to-source オプションを指定することができる。 これらのカーネルでは、 アドレスの範囲指定や --to-source オプションの複数回指定により 2 つ以上の送信元アドレスを指定した場合、 それらのアドレスを使った単純なラウンド・ロビンが行われる。 それ以降のカーネル (>= 2.6.11-rc1) には複数の範囲を NAT する機能は存在しない。
--random
--random オプションが使用されると、ポートマッピングはランダム化される (カーネル 2.6.21 以降)。
--persistent
クライアントの各コネクションに同じ送信元アドレス/宛先アドレスを割り当てる。 これは SAME ターゲットよりも優先される。 persistent マッピングのサポートは 2.6.29-rc2 以降で利用可能である。

2.6.36-rc1 より前のカーネルでは INPUT チェインで SNAT を使用できない。

IPv6 サポートは Linux カーネル 3.7 以降で利用可能である。

SNPT (IPv6 のみ)

(RFC 6296 で説明されている) ステートレス IPv6-to-IPv6 送信元ネットワークプレフィックス変換を提供する。

このターゲットは nat テーブルではなく mangle テーブルで使わなければならない。 以下のオプションを取る。

--src-pfx [prefix/length]
変換を行う送信元プレフィックスとその長さを設定する。
--dst-pfx [prefix/length]
変換を行う宛先プレフィックスとその長さを設定する。

変換を取り消すには DNPT ターゲットを使わなければならない。 例:

ip6tables -t mangle -I POSTROUTING -s fd00::/64 -o vboxnet0 -j SNPT --src-pfx fd00::/64 --dst-pfx 2001:e20:2000:40f::/64
ip6tables -t mangle -I PREROUTING -i wlan0 -d 2001:e20:2000:40f::/64 -j DNPT --src-pfx 2001:e20:2000:40f::/64 --dst-pfx fd00::/64

IPv6 neighbor proxy を有効にする必要があるかもしれない。

sysctl -w net.ipv6.conf.all.proxy_ndp=1

また、変換されたフローに対するコネクション追跡を無効にするには NOTRACK ターゲットを使用する必要がある。

TCPMSS

このターゲットを用いると、 TCP の SYN パケットの MSS 値を書き換え、 そのコネクションでの最大サイズを制御できる (通常は、 送信インターフェースの MTU から IPv4 では 40 を、 IPv6 では 60 を引いた値に制限する)。 もちろん -p tcp との組み合わせでしか使えない。

このターゲットは、 "ICMP Fragmentation Needed" や "ICMPv6 Packet Too Big" パケットをブロックしている犯罪的に頭のいかれた ISP やサーバーを乗り越えるために使用される。 Linux ファイアウォール/ルーターでは何も問題がないのに、 そこにぶら下がるマシンでは以下のように大きなパケットをやりとりできないというのが、 この問題の兆候である。

1.
ウェブ・ブラウザで接続しようとすると、 何のデータも受け取らずにハングする
2.
短いメールは問題ないが、 長いメールがハングする
3.
ssh は問題ないが、 scp は最初のハンドシェーク後にハングする

回避方法: このオプションを有効にし、 以下のようなルールを ファイアウォールの設定に追加する。

iptables -t mangle -A FORWARD -p tcp --tcp-flags SYN,RST SYN -j TCPMSS --clamp-mss-to-pmtu
--set-mss value
Explicitly sets MSS option to specified value. If the MSS of the packet is already lower than value, it will not be increased (from Linux 2.6.25 onwards) to avoid more problems with hosts relying on a proper MSS.
--clamp-mss-to-pmtu
Automatically clamp MSS value to (path_MTU - 40 for IPv4; -60 for IPv6). This may not function as desired where asymmetric routes with differing path MTU exist — the kernel uses the path MTU which it would use to send packets from itself to the source and destination IP addresses. Prior to Linux 2.6.25, only the path MTU to the destination IP address was considered by this option; subsequent kernels also consider the path MTU to the source IP address.

これらのオプションはどちらか 1 つしか指定できない。

TCPOPTSTRIP

このターゲットは TCP パケットから TCP オプションを削除する (実際には TCPオプションを NO-OP で置き換える)。 このターゲットを使うには -p tcp パラメーターを使う必要があるだろう。
--strip-options option[,option...]
指定されたオプション (複数可) を削除する。 オプションは TCP オプション番号かシンボル名で指定する。 iptables を -j TCPOPTSTRIP -h で呼び出すと、指定できるオプションのシンボル名を取得できる。

TEE

TEE ターゲットは、 パケットのクローンを作成し、 クローンしたパケットをローカルネットワークセグメントにある別のマシンにリダイレクトする。 言い換えると、ネクストホップがターゲットでなければならないということだ。 つまり、必要に応じてネクストホップがさらにパケットを転送するように設定する必要があるということだ。
--gateway ipaddr
クローンしたパケットを指定した IP アドレスで届くホストに送信する。 (IPv4 の場合) 0.0.0.0、 (IPv6 の場合) :: は無効である。

eth0 に届いたすべての入力トラフィックをネットワーク層のロギングボックスに転送する。

-t mangle -A PREROUTING -i eth0 -j TEE --gateway 2001:db8::1

TOS

このモジュールは IPv4 ヘッダーの Type of Service フィールド (上位ビットも含む) や IPv6 ヘッダーの Priority フィールドを設定する。 TOS は DSCP と ECN と同じビットを共有する点に注意すること。 TOS ターゲットは mangle テーブルでのみ有効である。
--set-tos value[/mask]
mask で指定されたビットを 0 にし (下の「注意」を参照)、 value と TOS/Priority フィールド の XOR を取る。 mask が省略された場合は 0xFF とみなされる。
--set-tos symbol
IPv4 の TOS ターゲットを使用する際にはシンボル名を指定することができる。 暗黙のうち 0xFF が mask として使用される (下の「注意」を参照)。 使用できる TOS 名のリストは iptables を -j TOS -h で呼び出すと取得できる。

以下の簡易表現が利用できる。

--and-tos bits
TOS 値と bits のビット論理積 (AND) を取る (--set-tos 0/invbits の簡易表現、 invbitsbits のビット単位の否定である。 下の「注意」を参照)
--or-tos bits
TOS 値と bits のビット論理和 (OR) を取る (--set-tos bits/bits の簡易表現。下の「注意」を参照)
--xor-tos bits
TOS 値と bits の XOR を取る (--set-tos bits/0 の簡易表現。下の「注意」を参照)

注意: 2.6.38 以前の Linux カーネル (ただし、長期間サポートのリリース 2.6.32 (>=.42), 2.6.33 (>=.15), 2.6.35 (>=.14) 以外) では、 IPv6 TOS mangling がドキュメントに書かれている通りに動作せず、IPv4 バージョンの場合と異なる動作をするというバグがある。 TOS mask はビットが 1 の場合に対応するビットが 0 にすることを指示するので、 元の TOS フィールドに mask を適用する前に反転する必要がある。 しかしながら、 上記のカーネルではこの反転が抜けており --set-tos と関連する簡易表現が正しく動作しない。

TPROXY

このターゲットは、 mangle テーブルで、 PREROUTING チェインと、 PREROUTING チェインから呼び出される ユーザー定義チェインでのみ有効である。 このターゲットは、 そのパケットをパケットヘッダーを変更せずにそのままローカルソケットにリダイレクトする。 また、 mark 値を変更することもでき、 この mark 値は後で高度なルーティングルールで使用することができる。 このターゲットにはオプションが 3 つある:
--on-port port
このオプションは使用する宛先ポートを指定する。 このオプションは必須で、 0 は宛先ポートが元々の宛先ポートと同じであることを意味する。 ルールが -p tcp または -p udp を指定している場合にのみ有効である。
--on-ip address
このオプションは使用する宛先アドレスを指定する。 デフォルトでは、 パケットが到着したインタフェースの IP アドレスが使用される。 ルールが -p tcp または -p udp を指定している場合にのみ有効である。
--tproxy-mark value[/mask]
Marks packets with the given value/mask. The fwmark value set here can be used by advanced routing. (Required for transparent proxying to work: otherwise these packets will get forwarded, which is probably not what you want.)

TRACE

This target marks packets so that the kernel will log every rule which match the packets as those traverse the tables, chains, rules.

A logging backend, such as ip(6)t_LOG or nfnetlink_log, must be loaded for this to be visible. The packets are logged with the string prefix: "TRACE: tablename:chainname:type:rulenum " where type can be "rule" for plain rule, "return" for implicit rule at the end of a user defined chain and "policy" for the policy of the built in chains.
It can only be used in the raw table.

TTL (IPv4 の場合)

このターゲットを使うと、 IPv4 の TTL ヘッダーフィールドを変更できる。 TTL フィールドにより、 TTL がなくなるまでに、パケットが何ホップ (何個のルータ) を通過できるかが決定される。

TTL フィールドを設定したり増やすのは、 危険性を非常にはらんでいる。 したがって、可能な限り避けるべきである。 このターゲットは mangle テーブルでのみ有効である。

決してローカルネットワーク内に留まるパケットのフィールド値を設定したり増やしたりしないこと!

--ttl-set value
TTL 値を `value' に設定する。
--ttl-dec value
TTL 値を `value' 回減算する。
--ttl-inc value
TTL 値を `value' 回加算する。

ULOG (IPv4 の場合)

このターゲットは NFLOG ターゲットの前身で IPv4 専用である。現在は非推奨となっている。 マッチしたパケットを ユーザー空間でログ記録する機能を提供する。 このターゲットがルールに設定されると、 Linux カーネルは、 そのパケットを netlink ソケットを用いてマルチキャストする。 そして、 1 つ以上のユーザー空間プロセスが いろいろなマルチキャストグループに登録をおこない、 パケットを受信する。 LOG と同様、 これは "非終了ターゲット" であり、 ルールの探索は次のルールへと継続される。
--ulog-nlgroup nlgroup
パケットを送信する netlink グループ (1-32) を指定する。 デフォルトの値は 1 である。
--ulog-prefix prefix
指定したプレフィックスをログメッセージの前に付ける。 32 文字までの指定できる。 ログの中でメッセージを区別するのに便利である。
--ulog-cprange size
ユーザー空間にコピーするパケットのバイト数。 値が 0 の場合、 サイズに関係なく全パケットをコピーする。 デフォルトは 0 である。
--ulog-qthreshold size
カーネル内部のキューに入れられるパケットの数。 例えば、 この値を 10 にした場合、 カーネル内部で 10 個のパケットをまとめ、 1 つの netlink マルチパートメッセージとしてユーザー空間に送る。 (過去のものとの互換性のため) デフォルトは 1 である。
iptables 1.4.21