WORDEXP(3) | Linux Programmer's Manual | WORDEXP(3) |
名前¶
wordexp, wordfree - posix シェルのように単語の展開を行う
書式¶
#include <wordexp.h>
int wordexp(const char *s, wordexp_t *p, int flags);
void wordfree(wordexp_t *p);
wordexp(), wordfree(): _XOPEN_SOURCE
説明¶
関数 wordexp() はシェルのように文字列 s を展開し、 p で指し示す構造体に結果を返す。 データ型 wordexp_t は少なくともフィールド we_wordc, we_wordv, we_offs を持つ構造体である。 フィールド we_wordc は size_t であり、 s を展開した結果に単語がいくつあるかを表す。 フィールド we_wordv は char ** であり、見つかった単語の配列を指し示す。 size_t 型のフィールド we_offs は、 we_wordv 配列にある初期要素のうちいくつが NULL で埋められるべきかを表すのに使われたりする (flags により決定される。下記を参照。)。
関数 wordfree() は割り当てたメモリーを再度解放する。 より正確にいうと、この関数はその引数を解放するのではなく、 配列 we_wordv とそれが指し示す文字列を解放する。
文字列引数¶
この展開はシェルによるコマンドのパラメーターの展開 (sh(1) を参照) と同じであるので、文字列 s はシェルコマンドパラメーターで不正とされる文字を含んではならない。 特にエスケープされていない改行、|, &, ;, <, >, (, ), {, } 文字を コマンド置換やパラメーター置換の場面以外に含めてはならない。
引数 s にクォートしていないコメント文字 # で始まる単語が含まれている場合には、 その単語とそれ以降の単語が無視されるか、 それとも # がコメント文字として扱わないかは、規定されていない。
展開¶
実行される展開は、以下の段階で構成される: チルダ展開 (~user を user のホームディレクトリに置き換える)、 変数展開 ($FOO を環境変数 FOO の値に置き換える)、 コマンド展開 ($(command) または `command` を command の出力で置き換える)、 算術展開、フィールド分割、ワイルドカード展開、クォートの除去。
特殊なパラメーター ($@, $*, $#, $?, $-, $$, $!, $0) の 展開結果は規定されていない。
フィールド分割は環境変数 $IFS を用いて行われる。 この環境変数が設定されていない場合、 フィールド区切り文字はスペース・タブ・改行である。
出力される配列¶
配列 we_wordv は見つかった単語をを含み、最後に NULL が続く。
flags 引数¶
flags 引数は以下の値のビット包含的 OR である:
- WRDE_APPEND
- 見つかった単語を前回の呼び出し結果の配列に追加する。
- WRDE_DOOFFS
- 初期状態である we_offs 個の NULL を配列 we_wordv に挿入する (これらは返される we_wordc にはカウントされない)。
- WRDE_NOCMD
- コマンド置換を行わない。
- WRDE_REUSE
- 引数 p は前回の wordexp() の呼び出し結果であり、 wordfree() が (まだ) 呼び出されない。 割り当てられた領域を再利用する。
- WRDE_SHOWERR
- 通常はコマンド置換のときに stderr が /dev/null にリダイレクトされる。 このフラグは stderr をリダイレクトしないように指定する。
- WRDE_UNDEF
- 未定義のシェル変数を展開しようとした場合に、エラーとして扱う。
返り値¶
成功した場合は 0 が返される。 エラーの場合は以下の 5 つの値のうちの 1 つが返される。
- WRDE_BADCHAR
- 改行または |, &, ;, <, >, (, ), {, } のうちの 1 つが不正に出現した。
- WRDE_BADVAL
- 未定義のシェル変数が参照され、かつ WRDE_UNDEF フラグでこれをエラーとして扱うように指示されている。
- WRDE_CMDSUB
- コマンド置換が要求されたが、 WRDE_NOCMD フラグでこれをエラーとして扱うように指示されていた。
- WRDE_NOSPACE
- メモリーが足りない。
- WRDE_SYNTAX
- 対応する括弧がない、クォートが合致しないといった、 シェルの書式エラー。
バージョン¶
wordexp() と wordfree() は、バージョン 2.1 以降の glibc で提供されている。
属性¶
この節で使用されている用語の説明については、 attributes(7) を参照。
インターフェース | 属性 | 値 |
wordexp() | Thread safety | MT-Unsafe race:utent const:env env sig:ALRM timer locale |
wordfree() | Thread safety | MT-Safe |
In the above table, utent in race:utent signifies that if any of the functions setutent(3), getutent(3), or endutent(3) are used in parallel in different threads of a program, then data races could occur. wordexp() calls those functions, so we use race:utent to remind users.
準拠¶
POSIX.1-2001, POSIX.1-2008.
例¶
以下のサンプルプログラムの出力はだいたい "ls [a-c]*.c" と同じになる。
#include <stdio.h> #include <stdlib.h> #include <wordexp.h> int main(int argc, char **argv) {
wordexp_t p;
char **w;
wordexp("[a-c]*.c", &p, 0);
w = p.we_wordv;
for (int i = 0; i < p.we_wordc; i++)
printf("%s\n", w[i]);
wordfree(&p);
exit(EXIT_SUCCESS); }
関連項目¶
この文書について¶
この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。
2020-11-01 |